米作家ローレンス・ブロックのミステリー小説「獣たちの墓」をリーアム・ニーソン主演で映画化した。ニューヨーク市警の元刑事で無免許の私立探偵事務所を営むマット・スカダーに、麻薬の売人ケニー・クリストから不吉な依頼が来る。妻が誘拐されて多額の身代金を払ったが、惨殺され、犯人を突き止めてくれというのだ。スカダーは正体不明の2人組の犯人を捜しあて、その犯人たちの次なるターゲットが14歳の少女であることを知る。スカダーは猟奇的殺人鬼たちと対決することになった。
スローナンバーのピアノが流れ、そこに彼がいる
「誘拐犯に告ぐ。殺したら、殺す。」というコピーの通りゴリゴリのハードボイルド作品であり、年老いてからアクションスターに転換したニーソンの魅力が爆発している。演技や表情から滲み出るスリルは「シンドラーのリスト」などの役を経てきた彼ならではの味に違いない。その佇まいはアクション映画の定番である銃撃戦以上のスペクタクルを生んでいる。
犯人側の動機や事件の背景の描写が余りにずさんで緊迫感に乏しいのだが、ニーソンに酔いしれる探偵映画として捉えれば、むしろお釣りがくるはずだ。スローナンバーのピアノが流れ、彼がそこにいる。古典的で無骨なハードボイルドに酔いしれてしまえば良い。ニーソンファンは観るべし!
丸輪 太郎
おススメ度☆☆☆