来年(2016年)1月から運用開始されるマイナンバー制度の導入延期を求める声が強まっている。日本で住民票を持つ人(外国人も含む)すべてに12ケタの番号を割り振り、行政サービスに利用しようというものだが、日本年金機構の個人情報流出など、政府・官庁のずさんな個人情報の管理に不安が広がっているためだ。
世論調査でも7割以上が「不安」「信用できない」
藤森祥平アナが「1からわかるマイナンバー制度」と汗だくで説明する。もともとは、税金逃れや社会保障の不正受給を防止しやすくするのが一番の狙いだが、番号一つでさまざまな個人情報を把握できるため、国や地方自治体にとっては行政上の作業効率化に都合がいい。
では、国民にとってメリットはあるのかというと、藤森アナが挙げたのは、たった1度の年金の受給申請の際にマイナンバーのカードを示すだけで手続きが簡単になるという例だけ。一方で、このマイナンバーによる個人情報は地方自治体も共有できることから、流出のリスクは年金機構の比ではなさそう。TBSが今月6、7日(2015年6月)に行ったJNN世論調査(有効回答数1200人)でも、73%が個人情報流出に「不安を感じる」とし、75%が国の個人情報管理は「信用できない」と答えている。
アメリカでは1000万件の個人情報流出し被害額1兆円超
マイナンバーを導入しているアメリカでは2006年から08年までに1000万件以上の個人情報が流出し、被害額は1兆円を超えている。導入した韓国でも保険会社のサーバーからマイナンバーが盗み取られ、別人に成りすました犯人が消費者金融から3億円を借りて行方をくらました。
夏目「制度への理解がまだ進んでいませんよね。何が便利で、どこに落とし穴があるのか明確になっていない印象です」
コメンテーターの前田治智(毎日新聞前政治部長)「国民にとってリスクや負担に見合うだけのメリットがあるのか。デメリットの説明も必要なのになされていません」
藤森アナ「10月に個人番号が記された『通知カード』と申請書が各世帯に届きます。希望者は各市町村の窓口で申請すれば、個人番号のカードが交付されます」
希望者ということになっているが、実際は就職・転職、年金受給、健康保険加入のときにマイナンバーの提示を求められることになる。