暴言を吐きながら障害者の顔を激しく平手打ちする男。この映像が決め手になって、障害者施設の職員の男が10日(2015年6月)に暴行の疑いで逮捕された。虐待が行われていたのは山口県下関市の知的障害施設「大藤園」で、山口県警は元職員の柳信介容疑者(35)を逮捕した。「(被害者が)作業をしないのでやった」と容疑を認めているという。
映像はこの施設の別の職員が昨年2月(2014年)に撮影したもので、柳のほかにも障害者の頭をめがけて段ボールの箱を投げつける職員も映っており、虐待は日常的に行われていたようだ。
「逮捕された職員だけじゃない。上司も見て見ぬふり」
内部告発した男性職員は施設の虐待を下関市に通報したが、市は虐待の実態を把握できないと放置していた。このため、男性職員が報道機関へ映像を含め情報提供したことが決め手になった。告発した男性職員は「柳容疑者だけが悪いわけじゃない。彼を注意しなかった上司が悪い。ちゃんと正直に究明してほしい」と話している。
木曜日のニュースコメンテーター、牧嶋弘子(TBS解説委員)は次のように市の姿勢を厳しく批判した。「市は虐待の可能性を認識しながら詳しい調査を行っていなかった。声をあげることができない人たちの言葉をだれが聞くのか。行政が率先して弱い立場の人を守ってやってほしい」
障害者をいたわり、手に職をつける施設の職員が激しい虐待をするのも最低だが、それを知りながら見て見ぬふりをする施設の幹部はもっと最低の人間だ。
文
モンブラン