韓国でウイルス性感染症MERSがさらに広がっている。きのう4日(2015年6月)、2次感染者と同じ病室にいた80代の男性が死亡し、3次感染者から初めての死者が出た。感染者は41人、死亡は4人、1600人以上が隔離された。
旅行キャンセル、学校閉鎖、マスク売り切れ・・・
ソウルでは普段は少ないマスク姿の人が目立つ。MERSはカゼやインフルエンザのように咳やくしゃみで飛沫感染するためだ。街の人は「危ないからマスクをしています。情報があまりありません」「政府が対策を示さないと行けません。本当に不安です」「薬局にマスクを買いに行きましたが、ありませんでした」と話している。
観光にも影響が出ており、南大門市場の店は「お客が減りました。行って大丈夫かの問い合わせも来ます」と話す。政府観光局によると、7000人が旅行をキャンセルした。ソウルの小学校からは子どもの姿が消えた。1160校が自主的に休校している。
なぜ韓国で感染が拡大したか。最初に発見された男性は感染地域の中東のバーレーン、サウジアラビアに渡航し、帰国して4日後に発熱や咳などの症状が出た。病院で受診したが、MERSとわかったのは4つ目の病院で、帰国から16日が立っていた。その間に、人込みに出かけたり、多くの人と接触していた。
韓国からの帰国者、入国者から聞き取り検査
日本では羽田空港の国際線検疫所がきのう4日から、韓国からの帰国者、入国者から聞きとりを始めた。サーモグラフィによる体温検査も実施している。
MERSは致死率が37%(WHO調べ)と高い。ただ、感染力はインフルエンザやカゼより弱い。感染源の一つと考えられるラクダ以外には、患者家族との接触や病院内での感染がほとんどだ。東京滋恵会医科大学の浦島充佳教授はこう説明する。「学校内や職場から広がったことはこれまでにありません。飛行機内で潜伏期間中の人から感染する危険はないに等しい」
浦島教授は日本で感染者が出る可能性は否定しないが、「広がる可能性は低い」と見る。
司会の加藤浩次「怖がる必要はないと考えていいですか」
浦島教授「はい、そうです。うがいをよくして、石鹸で手洗いなど普通の注意をしていれば大丈夫です」
湯山玲子(日大非常勤講師・著述業)「パニックを防ぐ心構えが必要ですね」
韓国や中東から帰国して感染を疑ったなら、病院より「まず保健所へ連絡を。半日で診断できます」(浦島教授)