「エリザベス女王が亡くなった」という大誤報が3日(2015年6月)に世界を中を駆け巡った。女王は今年89歳。どの報道機関でも死去の「予定原稿」を用意している人物だから、一報が出れば後は早い。今回は発信元がイギリスBBC放送のキャスターだったからなおさらだ。
「キング・エドワード7世病院に搬送され亡くなった」
3日午前9時半(現地時間)、BBCのパキスタン・インド向け番組の女性キャスター兼プロデューサーのアーメン・カワジャ氏(31)が、ツイッターに「速報 エリザベス女王がロンドンのキング・エドワード7世病院に搬送された。間もなく声明が発表される模様」と書き込んだ。
この書き方だと重病または死亡をうかがわせ、誤報というより虚報だったのだが、間の悪いことに、このとき女王はキング・エドワード7世病院で定期検診中だった。しかも、カワジャは追いかけて「エリザベス女王死去」と書き込んだ。発信元が公共放送だったため、信頼性が高いとアメリカのCNNやドイツのビルト紙などがこれをもとに速報した。
司会の小倉智昭「なんで(そんなもの)流したの。誤報じゃすまない。大変なことですよ」
女性キャスター「携帯電話がハッキングされ、私は被害者」
この日、BBCはあるリハーサルを行っていた。それが「エリザベス女王の訃報」の速報だった。この手の訓練は大きなメディアではよくやるが、木下康太郎アナは「カワジャ氏はこれをリハーサルとは知らずに放送(ツイッター)してしまったのではないかとみられています」と伝える。
これも変な話だ。本当なら右から左へ機械的に流すニュースじゃない。重大ニュースだから、必ず周囲の反応を見たり、スタッフと直接のやり取りがあるはずだ。情報の流れには大勢の人が関わっている。
笠井信輔ニュースキャスターは「そうではない」と口をはさんだ。「カワジャさんは『私じゃありません。携帯電話がハッキングされ、何者かがツイッターに書き込んだ。私は被害者だ』と話しています。はたしてどうなのか」
英国王室も「予定されていた定期検診で、女王はすでに元気に病院を後にしている」との声明を出した。
小倉「お元気なら結構なことです」
死去の誤報があると長生きする、なんてジンクスはなかったっけ。戦後のビッグネームで残っているのはエリザベス女王とカストロ氏だけだからね。