各地の神社や寺の建物や仏像に油のようなものが振りまかれた事件で、千葉県警はきのう1日(2015年6月)、キリスト教系を自称する団体の創始者で、アメリカ在住の医師(52)の逮捕状(建造物損壊容疑)をとった。直接の容疑は3月の香取神宮の事件で、重要文化財の楼門の柱など10か所以上で油のようなものを振りまいた疑いある。防犯カメラに中年の男性が写っており、男とよく似ている。
千葉県警は他のケースもこの医師の犯行とみて捜査を進めている。
「神社やお寺に行くと呪いを受ける。油注ぎで神様臨在」
男が主宰する宗教団体の集まりで話している映像がYouTubeに載っていた。「神社に行くと呪いを受けます。アーメン。神社に行くと家庭が不幸になります、病気になります。経済的に呪いがやってきます」「ここも多くの人が無実の罪で殺された場所で、ここにも油を降り注いで清めました」
男はニューヨークで産婦人科医をしており、宗教団体の映像でも「本業は医者です。赤ちゃんを2500人取りあげました」と語っている。アメリカで治療を受けたという女性は「評判がよくて優しくいい先生でしたね。(患者は)富裕層というか、お金持ちが多く、(診察料・治療費は)高い。はじめから手術をして総額900万円」。別の女性は「(腕の立つ医師として)有名な先生。口調がはっきりしていて」と話す。
しかし、もうひとつの顔があった。宗教団体の主宰者としては過激だ。「イエス・キリストの名によって命ずる。この山から出ていけ! イエス様のものになった! 天軍天使よ来れ! 悪魔サタンの軍勢よ立ち去れ」と叫ぶ映像があった。さらに、「日本人は信仰熱心。お寺に行ったり神社に行ってよく祈る。でも間違っている。神社は祝福を受ける場所ではありません」「神社へ行くと呪いをうける、不幸になる、病気になる」「2年間で100か所以上に精霊様から遣わされました。呪いを取り除き、油を注ぎ、神様の臨在をもたらしました」としゃべっている。
油の被害が最も多かった奈良での講演では、「あなたから与えられた祝福が、油注ぎが、この奈良の地に来ます」と犯行をほのめかすような発言もしていた。
油による寺社の被害は16都府県48か所に及ぶが、この男がすべてに関与したのかどうか。男を知る人は油は清めなのだという。神社仏閣を敵視しており、映像には「破壊してください。容赦しないで偶像を皆殺しにしてください」と激しい口調のものもあった。