スーパーマーケットの店頭からバターが消えた。国内の畜産農家を直撃している円安によるエサ代の高騰が原因の一つというが、供給構造にも問題がありそうだ。バターの原料となる生乳の生産者団体でつくる「Jミルク」によると、今年度の需要見通し7万5000トンに対して、生産量は6万5000トンとまったく足りない。農林水産省は昨年末(2014年)のバター不足の際に取られた輸入バターを今年はさらに追加する。
ケーキ屋さん「別に困ってない。いつも通りの量確保できる」
東京都内のスーパーをのぞくと、まれに「1人1個」なんて表示もあるが、多くは棚からバターは消えていた。買い物に来た主婦は「困りますね。バターはいろいろな料理に使いますからね」と困惑の表情だ。
ところが、バターを大量に使う洋菓子店に聞くと、家庭用ほど深刻なバター不足ではないようだ。「昨年のバターの使用量をもとに、事前にメーカーに同量を納品してもらうようにしている」と話している。
なぜ洋菓子店はバターを入手できるのか。国内で生産される生乳は牛乳に優先的に使われ、バターは後回しとなるためバター不足が起こる。輸入バターで補うわけだが、その輸入バターは消費期限の長い冷凍の業務用バターのみだという。農水省は業務用バターの追加輸入で国内の生乳を家庭用バターに回して不足解消を図ろうとしているが、それがうまく回っていない。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト