昨年12月(2014年)に当選した衆議院議員475人の資産が25日(2015年5月)に公開された。上位10人はいずれも自民党議員で、1位は鳩山邦夫議員の30億6520万円、2位の神山佐市議員9億6763万円との差が20億円以上もあった。現役大臣のトップは麻生太郎財務相の4億5761万円、安倍晋三首相は21位で1億5229万円だった。
「預貯金は定期だけ」「家族名義除外」「土地・建物は標準価格」
資産公開法で公開の対象となる資産は預貯金は定期のみ、土地・建物は固定資産税の課税標準額で実勢価格ではない。このほか、上場株、ゴルフ会員権、100万円を超える車などとなっている。普通預金や自宅で保管する預金、家族名義の資産は公開の対象になっていないうえ、虚偽記載に対する罰則規定もない。
ロバート・キャンベル(東京大教授)は「何のために公開しているのか」と次のように指摘する。「毎回、なぜこんな資産公開をするのか疑問に思うんです。公開している自宅の土地や建物、ゴルフ会員権からお金が発生するわけではない。逆に貸付金とか借金は除かれている。政治家としては、むしろこうしたお金の流れの方に意味があるはずです。アメリカの議会は罰則付きで、所有している会社とか金融資産とか、どこかに繋がっているお金のやり取りを厳しくチェックしています」
「日本の政治風土、文化のなかには、お金をたくさん持っていることは悪いこと、そのランクを悪い順番と思っているところがありますよね。その感覚はちょっと時代遅れではないかと感じています」
悪い金があるから国民の目から隠そうとするのか、隠そうとするから国民は悪い金と考えるのか。政治家自ら罰則規定を設けてクリーンな資産公開にしてほしい。