山梨・笛吹市の2つの寺で盗難事件があった。盗まれたのはご本尊で、「見てはいけない秘仏」だった。1体はかろうじて写真があったが、もう1体は見たことがある人はほとんどいない。たとえ見つかっても本物かどうかだれもわからないのだ。
法要の準備で清掃したら「あら、仏様がいない」
清泉寺はブドウ畑の一角にある。あたりは人通りも少ない。寺といっても、普段は閉まっていて、年に1度の「御開帳」の準備をしていた3月中旬(2015年)、檀家がご本尊の「十三仏」がなくなっていることに気づいた。「昨年の6月にあるのが確認されたのが最後」という。
十三仏は木彫で、戦国時代に武田信玄が合戦に持参した武田家の守護仏といわれている。しかし、檀家の人たちも「見ないようにしなさいといわれてた」「普段見ると目がつぶれる」などと言われていて、滅多に見ることがなかったという。ただ、笛吹市教育委員会に写真が1枚あった。本尊がいて、脇侍がいて、後背のように多くの仏が並ぶ。全体が箱になっていて、背負子がついているという。
もうひとつは延命寺。住宅と果樹園に囲まれている。ここでも法要の準備で檀家が掃除をしていて気がついた。本尊は地蔵尊である。高さは約 45センチで錫杖を持った立像だ。古い黒箱に入っているという。20年前に見たという檀家の「顔は印象的で、スケーターの浅田真央選手に似てたような感じ」というのが唯一の証言だ。
檀家「見てはいけないといわれていたのでお姿も定かではない」
2つの寺には共通点があった。住職が不在で、夜は人がいない時間帯がある。檀家による清掃は月に1回。その檀家も「見てはいけない」といわれていたので、お姿も定かでない。「見たこともないのがなくなっているのが不思議だね」「一番大事なものなのにね」というばかりだ。
小松靖アナ「転売を一番心配しています」
司会の羽鳥慎一「転売されてもわからないですよね。誰も見たことないんだから」
小松「見ちゃダメという教えで」
長嶋一茂(スポーツプロデューサー)「なんか起きるでしょう。絶対起きるよ」(笑い)
吉永みち子(作家)「こういうものを盗むヤツがいると思えば、写真も撮っておいたでしょうがねえ」
羽鳥「これ、難しいですね」
小松「手がかりが少ないのですが、お力をお貸しください」
といっても、こうしたものは曰く因縁がついてこそ値段がつく。「あの寺の秘仏だ」といわないかぎり二束三文だろう。まさか「真央チャンに似てるよ」と言うわけもなかろう。困ったものだ。