「家族への負担はむちゃくちゃ大きかったですね。妻もそうですけど、子供がよく耐えてくれたなと思います。いろいろ言われたこともあるでしょうけど、うちの子供の学校や友達がうまくやってくれた。家族に対して相当負担をかけてきましたから、任期が終わる十二月から、この八年分を何とか取り戻していきたいなと思っています」
橋下徹敗れる。彼が政治生命を賭けた「大阪都構想」が住民投票で僅差ながら否決されたのである。冒頭のコメントは、『週刊文春』の問いかけに答えた橋下氏のものだ。
新聞の事前調査もほぼ互角。投票日当日の出口調査では、賛成が反対を1ポイントから2ポイント上回っているという情報が駆け巡った。橋下氏が会見を行う部屋にはテレビモニターが据えられ、NHKの開票速報が流れていたが、常に賛成票が上回っていた。『週刊新潮』によると、維新の会のスタッフも余裕の表情を見せていたようだが、突然、<反対多数確実「都構想」実現せず>のテロップが流れ、江田憲司代表と別の場所でテレビを見ていた松野頼久幹事長は「ウソだろ・・・違うよ」とうめいたという。
その30分後に会見した橋下氏は意外にさばさばした表情で、「民主主義は素晴らしい」「政界は市長の任期が満了する12月で引退する」といい、「権力者は使い捨てがいい」という迷言を残した。「これからの僕は国民の奴隷ではない」と言い捨て、<あとは野となれ山となれ。そんな投げやりなニュアンスが言外に漂っていたのである>(週刊新潮)
残された維新のメンバーは大慌てで、江田代表まで辞任して後任に松野氏を推したが混乱は収まらない。切れ者、影の総理などともて囃す者もいる菅義偉官房長官も、橋下氏敗北で痛手を負ったと週刊新潮が書いている。政治ジャーナリストの伊藤惇夫氏がこう解説する。
<「今回、菅長官は二つの傷を負ったと言えます。まず、地方自治、地方分権が叫ばれているなか、中央の政治家が地方組織の意に反した行動に出たこと。もう一つは、彼の後方支援が功を奏さなかったという結果そのものです」>
これから橋下はどうするのか。弁護士だけではこれまで抱えている訴訟もあり大変だから、テレビに復帰して第2のやしきたかじんになる説。『週刊現代』では全国紙の記者がこんなことをいっている。<「今年12月には大阪市長選がありますが、橋下氏は自分の後継候補を立てて身の振り方を決めるようです。『負けたら政界引退』と囁かれていましたが、単にいなくなるということはないでしょう。
民主党政権を経て自民党政権が戻ってきた時、ものすごい高支持率でしたが、橋下氏はそれに学んでいます。もし今後一旦退場しても、『やっぱり僕がいないとダメでしょ?』と言って再登場してくる。
そのときには、憲法改正の議論もある程度熟している。彼はそこまで計算しているはずです」>
週刊新潮では政治部デスクが、安倍首相は憲法改正には維新の会の数が必要なので、橋下氏に求心力を保持させるために「橋下さんを民間閣僚として起用する」ウルトラCもありうるといっている。
私は政界復帰説には否定的である。島田紳助もそうだったが、橋下市長と伸助に共通するのは「あきらめのよさとええ格好しい」だろうと思うからだ。カネもできた、名前も売った、これ以上ここにいたらこれからは落ちる一方だから、潔さを見せて引くことで、次のおもしろい何かを見つけることができるはずだと考えるタイプだと思う。
芸能界も政治の世界も、中に入れば嫉妬と足の引っ張り合いの醜い世界である。安倍首相のあの増長したやり方を見ていて、嫌になったのかもしれない。どちらにしても橋下徹の時代は終わったのだ。
週刊誌じり貧が止まらない―「週刊ポスト」落ち込み酷い!前年同期比81%
このところ、どの週刊誌も企画がなくて苦労しているようだが、それは部数にも表れている。ABCの雑誌販売部数2014年7~12月が発表されたが、軒並み苦戦しているのだ。なかでも週刊現代の落ち込みが目立つ。週刊誌の中では週刊文春が首位の座を守り43万7892部だが、前期比は97・23%、前年同期比だと93・39%である。
2位が週刊新潮で32万5292部、前期比98・75%。3位は週刊現代で31万8769部、前期比90・43%、前年同期比だと86・90%と大幅な落ち込みだ。週刊ポストは26万0817部で前期比では93・51%、前年同期比だとなんと81・63%で、これまたすごい落ち込みである。
フライデーは部数こそ16万3017部だが、前期比104・86%と伸びている。ちなみに、週刊朝日は9万8450部、AERAが6万3687部、サンデー毎日が5万3046部、ニューズウィーク日本版が3万9513部、月刊誌だが文藝春秋が32万4388部で前期比117・09%と健闘している。
もはや新聞社系週刊誌は危険水域をはるかに超え、いつ休刊してもおかしくない。それに週刊現代と週刊ポストが続いているという構図である。この両誌だけではないが、読者が高齢化して「死ぬまでセックス」してみたいと思う読者が減っていることは間違いないだろう。
手遅れかもしれないが、いつまでもセックスのグラビアや記事で読者をつるやり方は早急に考え直したほうがいいと思う。