日本動物園水族館協会(JAZA)はきのう20日(2015年5月)、和歌山・太地町の追い込み漁で捕獲されたイルカの入手をやめると発表した。世界動物園水族館協会(WAZA)の要請を受けてのもので、今後は飼育・繁殖が主とならざるをえず、各地のイルカショーのなかには運営が難しくなる施設も出てきそうだ。
難しい飼育繁殖
JAZAはWAZAから、追い込み漁のイルカ入手を理由に会員資格の停止を通告されていた。WAZAに留まるかどうかを決めるこの日の投票で、残留99、脱退43で残留が決まった。太地町からの入手は止めることになった。水族館の多くは太地町のイルカ入手を希望したが、脱退すると他の希少動物の入手が困難になると、主として動物園の意向が多数を占めた。
追い込み漁は古来行われている伝統漁だが、捕獲の様子が映画で紹介され、「残酷だ」と非難をあびている。だが、水族館関係者によると、生け捕りに関しては「キズもつかない」いい方法だという。捕獲したイルカの2割は日本の水族館が買っているが、8割は海外へ売られている。各地の水族館で呼び物になっている芸をするイルカの大半を占めている。
黒宮千香子レポーターが訪れた静岡県の下田海中水族館では、現在飼育中の14頭のうち8頭は太地町から購入したもので、過去50年で50頭の繁殖を試みたが、育ったのは10頭だった。全国的に見ても、イルカ繁殖の成功率は12~13%。太地町ルートが止まるとじり貧が懸念される。
各地のイルカショー縮小へ
イルカを飼っている水族館は34館あるが、うち20館で飼育をしていた。13館では太地町のイルカの割合が6割超だった。イルカショーは豪快なジャンプだけでなく、キャッチボールなど高い知能と飼育のワザの結晶ともいうべきもので。その主役が減っていけば水族館の集客にも響く。
司会の羽鳥慎一「海外にも売られてるんでしょ」
黒宮「海外では巻き網などのネット捕獲が主ですが、追い込みはダメだということです」
高木美保(タレント)「疑問は2つあります。食料としてなぜイルカだけだめなのか。偏った攻撃ですよ。でも、『残酷だ』という指摘に、『伝統だ』というのは答えになっていない。もっと堂々と議論すべきではないでしょうかね」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「反捕鯨団体の圧力を疑わざるを得ないですよ。残酷だといっても文化で、ヨーロッパのシカ撃ちと同じ。フェアじゃない」
羽鳥「もうイルカがいない国もあるの」
黒宮「イギリス、オーストラリアなど18か国あります」
玉川「それが世界の流れかもしれないですが、伝統は守っていきたい」