きのう17日(2015年5月)未明、川崎市の中心部に近い簡易宿泊所「吉田屋」から出火し、隣接する「よしの」と合わせて約1000平方メートルを全焼した。5人が死亡、19人が重軽傷を負った。宿泊名簿ではなお8人の行方が確認できない。火が出たのが玄関付近という情報もあり、警察は放火の可能性も含めて調べている。
火の回り早く中から叫び声「こんなところで死にたくねぇよ」
焼けた建物はいずれも3階建てで、合計70人が宿泊していたとみられるが、火の回りが早く、出火直後の映像には「おい、だれか頼むよ。出られないよ」という悲痛な叫び声が入っていた。塀を乗り越えて逃げ延びたという宿泊者は、「振り返ったらもう火がいっぱいだった」という。近所の住民も「助けてくれ」「こんなところで死にたくねぇよ」などという叫び声を聞いていたが、手のつけようがなかったという。 3階から飛び降りた人も何人かいた。
宿泊者の話では、一番激しく焼けていたのが玄関付近で、火の気のないところから、放火の可能性も否定できない。吉田屋には各室に火災報知器はあったが、小規模施設ということでスプリンクラーは義務づけられていなかった。昨年8月の消防検査では問題なしとなっていた。
火災報知器あってもスプリンクラーなし
付近には29軒の簡易宿泊所があるが、いずれも作りは似ている。3畳ほどの小部屋が並んでいて、テレビと冷蔵庫、湯沸かしポットの他に設備はなく、室内で炊事はできない。廊下に共通のレンジがあって、簡単な温めものはできる。どこも防火対策には最大の注意を払っていた。
簡易宿泊所は、1泊2000円とか安いため利用者は多いが、近年は生活保護受給の高齢者も増えている。70代の人も少なくなく、火災のときはやっかいな事態にもなりかねないという。
赤江珠緒キャスター「部屋を見ても、火の出るようなものはないですね」
取材した飯村真一アナは「たばこでも煙が出たらすぐに気づくはず、あんな大火事になるというのはちょっと想定外ですね」
司会の羽鳥慎一「簡易宿泊所の安全は常に言われていますが、指導徹底はむずかしいのでしょうかね」
住田裕子(弁護士)「この地域を知っていますが、随分きれいになったけど、高齢化している。不始末とか逃げ遅れとかありがちで、放火だったら大変なことですが、火の不始末もありうると考えなくてはなりません」
いわば、社会から取り残された、繁栄の陰の部分である。