子役上がりの美少女じゃ出せないリアリティ
そして、さやかの母「あーちゃん」とともに物語の軸を支えるのが塾講師にして、原作者の「坪田先生」だ。まっすぐさやかに向き合い、君は落ちこぼれなんかじゃないと断言してくれた坪田先生に、「こんな先生に出会いたかった」と思う女子高生も多いはず。とはいえ、昔から塾や学校の先生が子どもの目線に立ってやる気を引き出そうとする気配が大の苦手だったひねくれ者としては、「この塾とは合わないかも」という感想が先にたった。
「今回の○○ちゃんの頑張りは、サッカー日本代表がW杯で優勝するくらいすごいことだよ」なんて言われた日には、「この人、こんなんで私が喜ぶと思ってんの!?」とカチンときてしまいそう。ご機嫌をとられている、子ども扱いされているということが嫌な子どももいるんです。
ビリギャルはたしかに素敵なお話だけれど、そのやり方が合う子もいれば、合わない子もいる。そういうめぐりあわせまで含めて、「この奇跡」という表現に行きつくと思うとなんだか感慨深い。
「普通の学校生活」になじみがない子役上がりではなく、高校の半ばまで地元で学生時代を送ったバックボーンがあるせいか、有村の演技はとても自然だ。青春物のお約束として、キャストの中にさやかに惹かれる少年もいるものの、ラブ要素は少なめで、「キュン」指数は高くない。良い意味で予想通り、期待通りの、「いっちょ頑張るか!」な気持ちをかき立ててくれるど根性ムービーでした。うし、気合入れていきますか!
(ばんふう)
おススメ度☆☆☆