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安倍晋三と祖父・岸信介―まるで違う政治姿勢と度量!持論だった「改憲はまず国民の理解から」

   週刊ポストが安倍晋三首相についての連載を始めたが、それを紹介する前に苦言をひとつ。今週号の週刊ポストが440円(週刊現代は420円)というのは高すぎる! 編集部は牛丼やスタバのコーヒー、マックのハンバーガーはいくらだと思っているのか。それに見合うだけの内容があるとは私には思えない。

   戦前の話だが、講談社が出していた『少年倶楽部』などを値下げして部数を増やしたことがある。その故事に習って値下げしたらいい。他誌も同じだ。300円にしたら今の倍は売れると思う。

   さて、週刊ポストの記事に話を戻そう。政治部の記者だった時代に安倍首相の父親、安倍晋太郎氏の番記者を務めていた野上忠興氏が書いている。二言目には岸信介という安倍首相だが、二人には大きな違いがあるという。

<私が復帰したのは日本の立て直しにおいて憲法改正がいかに必要かということを痛感しておったからなんです。今の憲法は(米国が)占領政策を行うためのナニであった。その辺の事情を国民に十分理解せしむるという役割は、総理が担わないといけない>(原彬久著・「岸信介証言録」より=週刊ポスト)

   野上氏から見ると、安倍と岸とでは政治・外交的思想やその手法で大きな違いがあるように思えてならないという。<例えば、政治手法だ。岸は「両岸」と呼ばれ、政治的に対立する勢力に太い人脈をつくりながらバランスとコンセンサスを重視する老練な政治家であった。

   外交面でも、日米安保条約を改定して日米同盟を強固にする一方で、外交三原則に「アジア重視」を掲げ、首相として初めて東南アジア諸国やオセアニアを歴訪し、インドネシア、ラオス、カンボジア、南ベトナムと相次いで賠償協定を締結して国交回復を達成している。

   首相退陣後も岸は訪韓して次の池田内閣の日韓国交正常化交渉を根回しした。憲法改正にしても、岸は改正の必要性を「国民に十分理解せしむる」ことが総理の役割だと強調している。

   対して、安倍は外交では中国、韓国とコトを構え、内政では「この道しかない」と一直線に推し進めようとする数をバックとした舵取りが目立つ。岸とは対照的だ。

   老練だった祖父と違い「頑なさ」と「危うさ」が同居する安倍晋三>

   安倍首相には、岸とは政治的な系譜が真逆の父方の祖父・安倍寛という人がいる。岸が東条内閣で商工大臣を務めて戦中から権力の中枢を歩いたのに対し、寛は東条英機の戦争方針に反対し、戦時中の総選挙では「大政翼賛会非推薦」で当選した反骨の政治家として知られる。

   岸と寛にはもう一つ大きな違いがあったそうだ。<岸が有名な「濾過器の哲学」で数々の政治資金疑惑を乗り切ったのに対し、寛は「昭和の吉田松陰」と呼ばれるほど「潔癖な政治家」だった>

   安倍家を長く支えてきた地元後援者の1人はこう語った。<「確かに晋三さんは岸さんの血を継いどるが、安倍家のおじいちゃんは寛さんで、戦時中に東条英機に反対して非推薦を貫いた偉い人じゃった。それをいいたいが、晋三さんと話をしても岸、岸というんでね」>

   いよいよ安保法制の審議に入る。週刊ポストの長老座談会で矢野絢也氏(83歳・元公明党)がこう話しているのを紹介しておこう。

   <矢野 (中略)しかもそのプロセスは極めてたちが悪い。去年、閣議決定で憲法解釈を変えましたが、それに関連する安保法制はまだ国会で審議されてもいないんです。

   つまり議会を無視して官邸だけで約束している。安倍さんの米議会での演説では、この法制を8月までに必ず成立させるとまで約束しちゃってるわけ。これが国会でも問題にされないことが不思議です。安倍さんに蹂躙されるがままの野党は誠に恥知らずであり、怯懦、無責任だと>


【蛇足】「ネットとジャーナリズム」第5回勉強会についてお知らせします。

   今回の講師は元木昌彦(元講談社&元オーマイニュース日本版社長)と朴哲鉉(Chul Hyun Park)氏(元韓国オーマイニュース&元オーマイニュース日本版記者)の二人です。

   講演のテーマは「日本でネット・市民メディアが失敗する理由」です。

■今回は時間と場所が変更となりますのでご注意ください。

主催 一般社団法人日本インターネット報道協会
日時 平成27年5月29日(金)18時30分~20時30分(受付開始は18時00分)
場所 TKP東京駅八重洲カンファレンスセンター「カンファレンスルーム5B」(東京駅から5分)
地図 http://www.kashikaigishitsu.net/facilitys/cc-tokyo-yaesu/access/

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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