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官邸ドローンの山本泰雄―新聞・NHKは報じなかった「元自衛官」の経歴!武器や殺傷の専門知識

   官邸ドローン事件で逮捕された山本泰雄容疑者(40)は元自衛官で、なかなかマンガもうまいことを私は知らなかった。『週刊ポスト』によれば<逮捕後に大新聞、テレビは容疑者の人物像を連日報じたが、その多くは「無職」「反原発に固執」と強調するものだった。

   冒頭で紹介した「漫画」について主要5紙とNHKは全く報じず、「元自衛官」の経歴もほとんど触れられていない>。続けてこう書いている。

<山本容疑者が描いたとする漫画からは、政府の政策への憤りが読み取れる。
   冒頭で紹介した作品のタイトルは「ハローワーカー」。舞台は〈老人駆除法〉が成立した日本だ。主人公の若者がハローワークで『国家公務員』にならないかとスカウトされ、『法』に基づいて老人を殺害していくという設定である。
   作中では厚生労働省幹部の男性がこんな台詞を笑顔で口にする。「失業者を雇用し、高齢者を駆除させる。高齢者にかかる年金・医療・福祉費用を大幅に削減し、出産・育児・教育に活用する『老人駆除法』は我が厚生労働省が導き出した年金・雇用・少子高齢化などを一挙に解決できる特効薬...」>

   漫画を読んだ印象について五野井郁夫・高千穂大学経営学部准教授が語る。<「彼の漫画を読むと、元自衛官だったことをもっと掘り下げて考えるべきだとわかります。作品の描写を読み込んでいくと、「人間を殺傷するためにはどのくらいの刃渡りの凶器が最も効果的か」であるとか、自衛隊で学んだ戦闘知識、情報分析能力などが反映されていることがわかります。

   山本容疑者のような元自衛官が日本には大量にいる。大量採用・退職の組織である自衛隊の中で、除隊した隊員のケアがどれだけされているのか。

   米国では戦場帰還兵の心のケアが重要な問題ですが、自衛隊ではそれは十分といえるのか。自衛隊で訓練された人が今回のような事件を企図したことは、もっと重く受け止めるべきです」>

   週刊ポストは<さらにいえば、「老人駆除部隊」の『活躍』が描かれる作品からは、軍事力・警察力を独占する国家権力が暴走することへの反感が読み取れる。

   自衛官としての経験がそうした問題意識を生み、犯行につながったのか、もっと議論を深めなければならなかったはずだ>と書いているが、その通りであろう。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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