リタイア対策「アパート経営」パックリ口開けてる落とし穴!入居者集まらず家賃保証もウヤムヤ

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「アパートを建ててみませんか」「マンション経営をしてみませんか」

   自宅や会社にひっきりなしに誘いの電話がかかってくる。ちょっと耳を傾けてみると、「税金対策にもなる」という。「そんなうまい話はないだろうに」と思うが、やはりうまい話ではなかった。

   新たなアパート建設は3年連続で増加していて、昨年は36万戸に上った。「更地で置いておくより、固定資産税や相続税を節約でき、副収入も得られる」として、どんどん建てられているのだ。このうち、交通の便など立地の良いところは目論見通りアパート経営に成功しているが、これはホンの一握り。実際は日本各地で空き部屋が増えていて、現在は429万戸、全体の5分の1にもなる。それでもなぜ新築アパートは増え続けているのか。

全国の5分の1が空き部屋!「満室にならなくても保証しますと言っていたのに・・・」

   クローズアップ現代が調べてみると、新築アパートの半数以上が「サブリース契約」によるものだった。契約の仕組みはこうだ。住宅メーカーや不動産会社が空いた土地の持ち主にアパート建築を持ち掛ける→持ち主は一括して借り上げてもらい、募集・集金などの管理をまかせる→さらに「空室でも家賃保証」という文言。こうした中、当初は『保証』されていた家賃が支払われないなどのトラブルが相次いでいる。

   群馬県高崎市に住む小出銀次郎さんもそんな『被害者』の一人だ。高齢のため畑の一部の作付をやめたが、そのままだと土地にかかる税金が大幅に上がり、相続税にも頭を痛めていた。そんな時、大手不動産から「税金対策になる」という話を持ち掛けられた。「一般のアパートは家賃収入が不安定だが、サブリース契約なら30年は固定する」という。

   小出さんは1億円を借金してアパート建てた。ところが、周りにも次々と新築アパートが建てられ、入居者が減って、いまは18部屋のうち3分の1が空き部屋だ。すると、今年3月(2015年)、不動産会社から「家賃保証の金額を下げたいと」という申し出があった。

   「保証する」としていた家賃がなぜ下げられるのか。ここに落とし穴があった。契約書には確かに「契約期間は30年」と書かれていたが、「保証する」としていた家賃収入は、実は「10年を経過した時点で2年ごとに改定する」となっていたのだ。妻の小出みよさんは嘆く。

「(家賃が)下がることがあるんだっていうことを会社側から言われれば、自分たちだって思わないこともないけど、『満室にならなくても保証します』と言ってるんだから、保証すると思うじゃないですか」

   「サブリース契約」のトラブルの多くは「減額されるリスクについて説明を受けていない」というものだ。営業の現場ではどんな説明が行われているのか。NHKは勧誘を受けた人が録音したテープを入手した。そこにはこんなやりとりがあった。客が家賃収入が下がる不安を口にしたときのことだ。勧誘員はこう明言した。「私の説明を聞いてましたか。家賃は間違いなく入ります。そのへんの不動産屋と一緒にされては困るんです」

   国民生活センターにはこの4年間で245件の相談が寄せられている。「サブリース問題の問題と現状」という冊子も作っていて、専門家の意見として「サブリースは(家賃減額の)リスクを大家に転嫁するもの」とまで書かれていた。

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