きのう11日朝(2015年5月)、横浜市港北区で木造アパートが全焼して女性が遺体で見つかったが、消防が出動した119番通報の10分以上前に死亡した女性から入っていた119番を指令管制員が「火事」と認識せず、出動させていなかったことがわかった。
横浜市消防局は会見して謝罪したが、管制官が事態を把握できなかったのには理由があった。
これまでに143件の救急要請―病院搬送は38回
亡くなったのは火元の部屋に住む法木弘子さん(60)とみられる。火災の通報が近くの複数の住民から入ったのは午前9時ころだったが、その14分前に法木さんから119番があった。市消防局によると、管制員とのやり取りはこんなことだったらしい。
「火事ですか、救急ですか」
「(不明瞭)」
「救急ですか」
「はい」
「どうしましたか」
「ハジになっちゃった」
「ハチですか。救急車は必要ですか」
「いらないです」
ここで電話は切れた。
「ハジ」と聞こえたのが「火事」であった可能性が高いが、管制員が「救急」と思い込んだのには理由があった。 法木さんは2010年以来143件も救急要請をしていた人だったのだ。ほとんどは体調不良という訴えで、病院搬送は38回。駆けつけたものの搬送に至らなかったことが多かった。管制員が「あの人か」と思い込んだ可能性を消防局は否定しなかった。
横浜市消防局は調査委員会
司会の羽鳥慎一「亡くなって取りかえしがつかないのですが、消防の方には『またあの人か』という先入観があったんでしょうかね」
青木理(ジャーナリスト)「あったかもしれないですね。この人は年間で30件くらいも通報があって、勘違いもわからなくはないんだが、管制員はあらゆることに対応すべき立場ですからね、ちょっと問題があったんだという気がします」
この火災で住民から9件の119番があり、消防車の現場到着は9時8分だった。法木さんの最初の通報からは22分経っていた。この遅れは大きい。消防車22台が出動したが、2階建てのアパートが全焼したほか、隣接の空き家も焼けた。市消防局は調査委員会を立ち上げ経緯を調べるという。