横浜市内で11日朝(2015年5月)、アパートの焼け跡から60歳の女性の遺体が見つかった。出火時にこの女性とみられる人物から119番通報があったが、通報の内容が聞き取れず、このときは消防車が出動しなかった。
その14分後に近隣住民から複数の通報があり出動したが、木造2階建てアパートは全焼、女性の救出は間に合わなかった。女性は一人住まいのうえ認知症で通院していたという。
電話切れ、消防車出動せず
横浜市消防本部は謝罪会見を行い、女性からの119番通報の経緯を明らかにした。女性から午前8時46分に119番通報を受けた担当者とのやり取りは次のようだった。
担当者「火事ですか、救急ですか」
女性「救急車が必要です」
この後、女性は名前、住所、年齢を伝え、きちんと聞き取りができていたのだが、何かを話し始めたので、担当者「どうしましたか」と聞くと――
女性「はじになっちゃったの」
担当者「はい?」
女性「はじ」
担当者「ハチですか」
女性「・・・」
担当者「もしもし、何ですか。救急車が必要ですか」
女性「いらない」
担当者「いらないんですか」
この間1分足らず。女性から電話を切り、消防本部では出動しなかった。
担当者「救急車の要請と理解」
記者から「『はじ』と聞いて、『火事ですか』と聞き返さなかったのか」と聞かれ、消防本部は「最初の救急ですかに『はい』と回答をいただいたので、担当者は救急の症状を聞き取ることに専念してしまった」と説明した。
通報する余裕があったのに、なぜ火事から逃げなかったのか。認知症はそれほど重い症状だったのか。疑問は残ったままだ。
司会の加藤浩次「高齢化社会で認知症の方や認知症と思われる方が増え、一人暮らしの方も多くなってくる。こういう救急電話も増えると思いますが、どうしたらいいのでしょうかね」
ロバート・キャンベル(東京大教授)「消防当局が一人暮らし高齢者がいる近隣住民に電話ができるようなシステムが必要ではないでしょうかね」