数ある日本の大学で、世界ランキングで100位以内に入ったのは東京大(23位)と京都大(59位)だけだった...。アカデミック分野のグローバル化が遅れていることに危機を感じた国は、大学改革と国際化を柱とした「スーパーグローバル大学創生支援」構想を打ち出し37の大学を指定した。今後10年間に1000億円の予算を投じ、グローバル化した世界に通用する専門的知識、優れた発想力、教養を持った学生を育成し、さらに諸外国から優秀な留学生を日本に呼び込もうというのだ。
国の構想に104大学が応募した。各大学が示した改革案を国が審査し、Aタイプ(トップ型)13校、Bタイプ(グローバル化の牽引型)24校の計37大学が指定されたが、Aタイプは世界トップ100入り、Bタイプは世界に通用するグローバル人材の育成が目標という。
歯止めがかからない志願者減少
Bタイプに指定された立教大学の昨年の志願者数は、前年に比べ10%も激減した。今年は持ち直したものの、志願者数の減少傾向は続いている。頭を抱えたくなるようなこんなデータもある。明治大学と両方に合格した学生が最終進学先にどちらを選んだか。15年前は8割以上が立教大を選んでいたのが、今は逆転して6割以上が明治大を選んでいる。財政面でも近年は赤字に転落した年があった。
そこで、大学はグローバル化へカジを切ることによってブランドイメージを回復し、志願者数の確保につなげる足掛かりにしたいと考え、布石を次々と打ち出している。柱の一つが外国人留学生の受け入れ。現在、外国人留学生は500人余りだが、これを世界300の大学と提携して最終的には4倍の2000人に増やす計画だ。受入れのために日本人学生と共同生活ができる国際交流寮の準備を進めている。外国人教師を14%から20%にまで増やし、日本人学生の国際感覚を高めることも考えている。
ただ、布石は打ったが、問題はグローバル人材を具体的にどう育てていくか。育成方法は指定された各大学に委ねられ、立教大学は15億円の予算を付与されたが、会議を開いても教授たちは思案投げ首の状態だ。
文部科学省の義本博司・大臣官房審議官は「世界から優秀な人材を引き付けてこられるような競争力の高い、国際性の高い大学を創設する。そのための重点支援を行っていくのが狙いです。中間評価をしっかり行い、取り組みが不十分なところは厳格な評価もある」と話す。