説得力に欠ける週刊新潮ヒマネタ巻頭「人口減少悪い事ばかりじゃない」
今週の『週刊新潮』はよほどネタに困ったのか、巻頭特集は「『人口激減社会』の利点検証」というヒマネタ(失礼!)から始まる。4月17日(2015年)に総務省が発表した人口推計(昨年10月1日時点)によると、外国人を含む総人口は前年に比べて21万5000人減った。当然ながら少子高齢化はますます進み、65歳以上の高齢者は3300万人で、14歳以下の2倍を超える。
さらに、増田寛也元総務相が座長を務める「日本創成会議」が昨年5月に発表した試算では、出産適齢期の20歳から39歳の女性の人口が2040年までに半減する自治体を「消滅可能性都市」であるとし、全国の約1800の自治体のうち896市区村町が消失するとしたのである。都市部では東京・豊島区がリストに入った。
さあ大変だ。昔、ニューヨークで大停電があったとき、その10か月後に出生率が急増したことがあったから、日本中を夜だけでも1週間停電にしてみたらどうかなどと考えるコチトラとは頭のできが違う週刊新潮編集部は、江戸時代やペストの流行によって2000万人以上が減ったヨーロッパを引っ張り出してきた。
江戸時代・徳川吉宗の時代には3200万人いた人口が、その後70年間の飢饉や天変地異で300万人減少したが、農民の耕作面積が拡大したことや労働力不足のために新たな農機具を開発したことで、豊かになった農民が都市部で貨幣を使うことで経済が活性化し、そのゆとりが「江戸文化を勃興させました」(現代社会研究所の古田隆彦所長)
同じようにヨーロッパも、働き手が減ったがさまざまな工夫で農業生産量は保たれたから、農業生産者の賃金は高騰し、その富が都市部に流れ込んでルネサンス文化を花開かせた。だから、同じように考えれば人口減少は心配することはないというのだが、農業が疲弊している現代でそれと同じことが起きるとは、私には考えられない。だが、成長なき成長時代をどう生きるのかは、今こそ真剣に考えなければいけないこと、いうまでもない。