首相官邸の屋上できのう22日(2015年4月)、小型無人飛行機(ドローン)が落ちているのがみつかった。カメラのほかプラスチック容器が付いていて、中に放射性を持つ液体が入っていた。政府は「政治的メッセージをもった犯行」としているが、警備がやぶられたショックも大きい。
自然界には存在しない「セシウム134・137」の液体
官邸の屋上は3月22日に使用して以後は使っておらず、ドローンがいつ飛来したのかはわからないという。機体は黒っぽく塗装され、4つあるプロペラを下にしてひっくり返った状態だった。
機体にはカメラのほか、発煙筒2本とプラスチック容器が搭載され、外側に「RADIOACTIVE」(放射性を表す)というシールが貼られていた。警視庁などが調べたところ、セシウム134と137由来の放射線が検出された。線量は毎時1.0マイクロシーベルトで、この日の都内の線量の約20倍だが、人体には影響がないレベルだった。
放射性セシウムは自然界には存在せず、核爆発や原発でしかできない。ドローン搭載の液体が福島の原発事故を暗示している事はたしかだが、犯行声明の類いはない。警視庁は犯人の捜索と同時に、ドローンの飛来経路の割り出しも進めている。
通販や家電量販店で1万円台から販売
ドローンは安定した飛行状態が得られるため、小型高性能化したカメラとの組み合わせで主にテレビの俯瞰撮影に使われている。災害時の状況把握や物の運搬までさまざまに使える。極端な話、爆発物を搭載すればテロにも使える。
しかも通販や家電量販店でだれでも買えて、所有の規制はない。安いものは1万円台からある。実際に飛ばす場合も、都市部では航空法で高度250メートル以上は飛ばせないが、それ以下なら規制はない。
ビルが林立する都心でも飛ばせるかどうか。「モーニングバード!」がテストしてみると、数秒で高度30メートルまで上昇した。これがだいたい7階建てビルの高さだ。かなりの距離が離れたところからもか操作ができ、アンテナの位置を確保すれば車の中からでも操縦できる。また、GPSを使って目的地まで飛ばすことも可能だという。
官邸の警備は日本一厳しいはずだが、監視カメラはいずれも地上を向いている。ドローンはすぐ近くだと相当なプロペラ音がするが、都会の騒音の高いところを飛んでいたらまず気づかない。夜間だったら闇にまぎれてしまうだろう。
取材した原元美紀レポーターは「官邸がこんなにも無防備だったとは驚きです」という。
ドローンを実際にスタジオで飛ばしてみた。かなりの音と風圧だ。
玉川徹(テレビ朝日ディテクター)「ハチが飛んでる音だ」
司会の羽鳥慎一「操作は?」
カメラマンの岩吉洋信氏は「初心者でも簡単。免許もいらない」という。
能力は時速40キロ、飛行可能時間約20分、高度300メートル以上、1キロ離れていても操作は可能だ。プログラムすればもっと遠くからも飛ばせる。いま日本に2000~3000機あるそうだ。
玉川「最初はオモチャでも、重いものが積めるとなるとね」
羽鳥「規制が性能に追いつかない」