「ああ、赤ちゃんが生まれる!」自宅で一人・・・母子救った陣痛タクシー運転手

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   自宅に一人でいる時に陣痛が始まり、出産でパニックになった主婦と生まれたばかりの赤ちゃんを介護し、無事に病院に届けた埼玉・さいたま市のタクシー運転手がいた。

   麻奈未さん(25)と母親に抱かれてスヤスヤ眠る生後20日の咲花(はな)ちゃんにとって、今月1日(2015年4月)は大騒動だった。麻奈未さん夫を駅まで車で送って帰宅し、普段通りに朝食をとっていると急に痛みが始まった。「まだまだ本格的な陣痛とは考えていなかったので横になっていたのですが、だんだん痛みが激しくなっていったんです」

家のドアを開けると目の前にへその緒がつながった母と子の姿があった

   実母に来てほしいと連絡したが、座っていても痛くてどうしていいかわからないほどになり、母親を待てないと考えて、登録していた「つばめタクシー」に連絡した。つばめタクシーは2年前から「陣痛タクシー」を始めていた。事前に名前、住所、かかりつけの病院を登録しておけば、連絡を受けるとすぐ病院まで運んでくれる。連絡を受けたのは、運転歴30年、これまでも妊婦を搬送した経験があるベテランの小久保一夫運転手(63)だった。

   ところが、赤ちゃんは徐々に外へ出始めた。「もう頭が出ているかもしれないという状態で、早く誰か来て」と思いながらパニック状態でいたら、「スルッと出てきてしまった」と麻奈未さんは話す。その時に小久保運転手が到着した。呼び鈴を押すと赤ちゃんの泣き声とともに「早く入ってください」の悲鳴が聞こえる。ドアを開けると目の前にへその緒がつながった母と子の姿があった。

   小久保さんが病院に連絡を取ったら、「ともかくへその緒を糸で縛って、赤ちゃんが冷えないように濡れたところをタオルで拭いて、タオルでくるんであげて」と指示された。「でも、糸がないんですよね。引っ越し用の麻の紐だったかで縛った」と思い出し苦笑する。指示通り済ませた後、車の後部座席に母子を乗せて病院へ。「ぜんぜん泣き声をあげないので心配だったんですけど、『生きている?』と尋ねると、母親が『生きてる』。ドキドキでした。信号待ちが長かったですね」

   自宅から7分で病院に到着し、準備していたらしく医師らが入口まで駆けつけてくれた。母子ともに無事で、咲花ちゃんは2800グラムで生まれた。

   麻奈未さんはあらためて「一人じゃない安心感がありました。ありがとうございました」と感謝を伝えると、小久保さんは「信じてくれたあなたに感謝します」。2人、いや3人にとって一生の記憶として残るだろう。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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