実を言うと、原作マンガの荒唐無稽な筋についていけず、早い段階で脱落してしまった。それでも劇場に行くことにしたのは、ひとえに物語のキーマン「殺せんせー」がどんなCGでお目見えするのかが気になったからだ。同じく「少年漫画×CGの化け物」だったデスノートは、役者とCGが完璧にはまっていたけれど、暗殺教室は原作がかなり子供向けだ。その差がどう転ぶのか。お手並み拝見といきましょう。
中学生役に違和感ない山田涼介
落ちこぼれ風だけど「なんか持ってる」主人公と可愛いヒロイン、そして次々と現れる敵。ラブあり成長ありのほんのりヒューマンコメディという基本路線は原作から外れないとして、やっぱり実写となれば気になるのは配役だ。主人公・潮田渚を演じるのは「Hey! Say! JUMP」の山田涼介で、中性的で頼りなげというキャラクター設定にもはまっている。小柄、女顔があいまって、成人しても中学生役に違和感がない。
ヒロインの山本舞香はリハウスガール出身の美少女で、明るく元気な役柄が似合う。ほか出演者らも、原作マンガの絵柄に極力似せるようにしているので、原作ファンは嬉しいかも。逆に、実写で再現できるところはするという姿勢があだになっている部分もあった。
とくに気になったのは女子生徒の髪型です。山本舞香の髪は不思議なプリン染めで、うねり系ハーフツインテールといったスタイル。うーん、どうなんでしょう。正直、凛々しい顔で目が大きい美人さんだから、まんま原作通りじゃなくて、バングス薄めのぱっつんにするだけでぐっと可愛いと思うのだけど、なんか惜しい。「千年に一人の逸材」のキャッチコピーで快進撃を続けるアイドルの橋本環奈の前髪も完全にギャグ。ぺたりとぬれぼそり、額に張り付く前髪って、可愛くないを通り越して不安になってくるんだけれど、これでいいのかなあ。
加藤清史の刺客、高島正信のいかれた自衛官・・・ツッコミどころ満載
物語は意外とスピーディに展開していく。私怨から生徒に猛毒を呑ませる自衛官が突然登場するなど、時折挟まれるずっこけ展開に目をつむれば、中学生のライフル乱射シーンなどアクションシーンは見ごたえありである。「人間には効かない武器」で「殺せない最強の敵(しかもみんなに愛されている)」に挑むっていう安心安全の設定だから、銃やらナイフやらが飛び交っても1滴も血は流れない。たしかに春休み向きです。
オチも予想通りだけれど、原作ファンが「あれはよかった」「ここはない!」などと盛り上がるには十分な面白さです。若手俳優の青田買い目当てに観るのもありです。肝心のCGについては、たしかに「おおっ(お金かかってそう)」と驚くほどふんだんでした。同じくふんだんにCGを施された刺客役の加藤清史郎、いかれた自衛官役の高島正信のはまりっぷりなど、見どころ(突っ込どころ?)はまだまだたくさん。いやぁ、よく実写したわ。これ。
(ばんふう)
おススメ度☆☆☆