「ニューズウィーク」安倍礼賛には驚いた!「日本国民はアベノミクスで豊かになり改憲で経済復活」
同様に、読んで驚いたのがニューズウィーク日本版の「アベノミクス成長の実感はいつ?」という記事だ。アベノミクスの歪みを皮肉った記事かと思えば、そうではない。アベノミクスで日本人は幸福になっているという唖然とする記事なのだ。
投資顧問会社のピーター・タスカ氏は、日本の自殺者が減少しているのは悲観する人が減っているからで、その主な理由は日本の経済情勢にあるとしている。完全雇用が実現し、理論上は職を求める全ての人に職があるのだから、<安倍政権からの圧力がなくても、これだけ労働市場がタイトになれば、賃上げ交渉の主導権が雇用者側から労働者側へ移るのは当然だ>と、どこの国のことをいっているのだろうかと疑いたくなるいい方である。
消費者物価がほとんど上がってないのだから、ほとんどの労働者は新たな豊かさを実感できるはずだ。少子化で新規就労者は減る一方だから、フルタイムの正規雇用の伸びがパート労働者の伸びを上回るのも時間の問題だとし、日本人はとても幸福なのだから、そう思いなさい、そう思わないのは自分が悪いからで、安倍政権はバラ色の未来を提供してくれると万歳三唱する。
もっと驚くのは、アンドルー・オブラス(世界銀行コンサルタント)なる人物が、「憲法改正が開く経済復活への道」と書いていることだ。<長期的な視野に立てば、安倍の改憲の試みを日本再生に向けた改革の一環として、この国の復活に不可欠な要素と位置づけることが重要になる。安倍流の世界観に従えば、憲法の縛りを解き放って日本を「普通の国」にすることは、復活への最上の道だ>
この雑誌は保守派だが、オバマ大統領批判などに鋭い切れ味を見せるので、私も継続して読んでいるのだが、この記事を見てガッカリし、購読を打ち切ろうと思っている。
新聞は政府の広報紙という性格を持つ以上、アベノミクスについても批判ばかりできないのは理解できる。だが、雑誌が無批判に権力のお先棒を担いで、それを批判する側を叩くのでは、雑誌の存在理由はどこにあるのか。そんなことを考えさせられた2つの記事である。