東日本大震災の被災地で新ビジネスが次々に生まれている。国谷裕子キャスターはこう報告する。「被災地では震災後、人口が流出し、過疎化、高齢化が一層深刻化していますが、同時にあらたな事業を立ち上げる動きが活発になっています。あらたな生産方法、流通、販路の開拓、イノベーションで未来を切り開こうといううねりから、いずれ日本をリードする事業に成長すると期待を抱かせるものも出てきています」
1粒1000円のイチゴ
宮城県山元町の農業法人GRAはITとブランディングを重視したイチゴ栽培を行い、1粒で最高1000円のイチゴを売り出した。岩佐大輝GRA代表は地元出身で、東京でITコンサルティング会社を経営していたが、震災後は地元に雇用を創出できる事業としてイチゴのハウス栽培に乗り出した。それまで農業は未経験だったが、農家の栽培ノウハウを分析、数値化し、補助金3億円を活用して買ったセンサーなどで品質管理を行っている。
「研究開発とマーケティングに思いっきりおカネを張るのが重要ですよね」「いいモノをつくり、それを消費者に示すブランディングをすることでいい値段がつく」と岩佐代表は語る。
漁業の分野では、三陸地方の若手漁師たちがグループを組み、日本を代表する海産物ブランドを目指して、「フィッシャーマン・ジャパン」というブランドを立ち上げた。これまでは、わかめ漁師、銀ザケ漁師などがそれぞれバラバラに漁協などを通じて出荷していたが、統一ブランドによる品ぞろえを武器にして、ネット通販会社などを通じてより消費者に直接売り込むようになった。昨年11月(2014年)には香港にも販売するようになった。