韓国の朴槿恵大統領への名誉毀損裁判で8か月も出国禁止にされていた産経新聞の前ソウル支局長・加藤達也氏がきのう14日(2015年4月)、禁止を解かれ帰国した。裁判そのものは今後もソウルで行われる。日韓関係の冷え込みをまだしばらくは背負っていくことになりそうだ。
逃亡の恐れないのに8か月も足止め
午後7時半に羽田空港に着いた加藤氏は「ホッとしている。正直、驚きました。(出国禁止が)延長されると思ってましたから。自由に出られる状況とそうでない事態の重みを痛感しました」と話す。今週末にはまたソウルに戻って裁判に備えるという。
加藤氏が名誉毀損に問われたのは、産経新聞ウエブサイトのコラムに書いた記事だ。昨年4月のセウォル号沈没事故当日、朴大統領の所在が一時不明だったことで、「男性と密会していたのでは?」という疑惑が出ていることを伝えた。韓国紙から引用や国会でのやりとりで、韓国国内では周知のことだった。
ところが、韓国法務省はこれを「大統領への名誉毀損にあたる」とし、ソウル中央地検が加藤氏を在宅起訴した。同時に「出国禁止」措置がとられ、いままで延長されてきた。
この間、産経新聞、日本政府は外交ルートや要人との会見の場で再三解除を求め、アメリカ政府スポークスマンも言論の自由に対する懸念を表明、ソウル駐在の外国メディアの抗議など異例の展開となった。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト