大ネタ「地獄百景亡者戯」には松田優作や美空ひばりも登場
固いばかりじゃない。復活させた落語に時流に合わせた話題を盛り込んでいった。代表作の一つ「地獄百景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」を平成2年に演じたときは、亡くなったばかりの松田優作や美空ひばりなどの名前もちりばめて親しみやすさも演出した。
米朝が復活させ発展させた演目は180にも及ぶ。生涯5300回の高座で描こうとしたのは普通の人たちの日常だった。自らはそれを「落語国」と呼んでいた。
この日のゲストは対談などで米朝さんと親交のあった大石静さん。国谷裕子キャスターが「会話を重ねる中で、とくに印象に残る言葉はありますか」と聞く。「『芸人は目先の評価でなくお客に育てられるものです』とおっしゃった時、言葉を失うくらいドキッとしました。私たちは目先の評価、視聴率というものに迷わされて生きてきたので、『本物だな、この師匠は』と思いました」
地獄百景亡者戯は1時間半にもなる大ネタだ。最近は中堅、若手の上方の落語家が挑戦して人気になっている。
ビレッジマン
*NHKクローズアップ現代(2015年4月6日放送「『庶民の笑い』を絶やさない~落語家・桂米朝さんの生涯~」)