NHKの報道番組「クローズアップ現代」で浮上しているやらせ疑惑について、籾井勝人会長は2日(2015年4月)の参議院予算委員会で、「徹底的に先入観を持たず、近く局内に調査委員会を設ける」と表明した。来週中には調査状況を報告するという。
告発の男性「放送で訂正しろ」
籾井会長は「やらせがあったと主張している男性には、弁護士立ち合いのもとで聴き取りに応じて頂いた。その内容とNHK関係者や番組で取材した別の男性の話にかなりの食い違いがあると報告を受けています」と説明した。NHKの聴き取りの際、やらせを主張する男性から「放送で訂正すること。7日以内に(調査結果を)回答する」ように求められたという。
昨年5月に放送されたクローズアップ現代の「追跡『出家詐欺』~狙われる宗教法人」の取材現場でいったいなにがあったのか。男性の代理人弁護士によると、撮影が行われた現場は関西にあるビルの1室で、テレビ番組の撮影とは知らされずに呼び出され、ブローカー役を演じるように指示されたという。現場には男性に協力を依頼した知人もいて、多重債務役を演じるよう指示され、記者から演技指導まで受けたと話している。
このNHK記者は身分を明かさず名前も名乗らなかったため、男性はクローズアップ現代で放送されるまで知らなかった主張している。「テレビの再現映像」を撮影するものとばかり思っていたという。
撮影現場で演技指導?
放送された隠し撮り映像をみると、NHK記者が取材しているところに、偶然訪れた形で知人が成りすました多重債務者が登場する。「ちょっと金融の方が苦しくなりまして、こちらにさえ来ればもう1度やり直せるとうかがって来たものです」
ブローカー役「何件ぐらい?」
重債務者役「7~8件。これ以上は首吊りしかないところまできています」
コメンテーターの湯山玲子(著述業)が「ちょっと演技指導したぐらいで、うまくできるものですかねえ」というほど堂に入ったものだった。多重債務役の知人はNHK記者とは以前からの知り合いだったことを認めており、これだけでも『やらせ』と言えなくもない。
弁護士の菊池幸夫は「いろんな疑問が湧いてきます」と言いながら、こんな疑問を話す。「ああいう隠し撮りを本来撮れるものかどうか。債務を負っている人が嘘の名前に変えて債務を受けています。これ犯罪行為になるんですよ。そういう現場を果たして隠し撮りできるのかどうか」