司会の羽鳥慎一が現場に出かける新コーナー「聞きトリ」の初回テーマは「親子経営」だった。大塚家具の父娘の争いに託けて選んだ現場は、何代も続く商売が多い浅草仲見世である。テーマと現場がうまくかみ合ってなかなか面白かった。
「大塚家具はね、娘に譲って、気に入らなかったらまた自分の会社を興せばいい」
和菓子の「喜久屋」は創業100年のみたらし団子が人気のお店である。母(74)が3代目、娘(45)が4代目、将来5代目になるというのはまだ少女だ。「家族は楽ですよ」「言いたいことが言えるし、言ったあとはすっきり」。大塚家具の騒動を「去年、父をなくしたので、親はいつまでもいるわけじゃない。絆は大事」
あげまんじゅうの中富商店は創業91年。3代目のおばあちゃん(78)から孫(27)が引き継いで5代目になる。「毎日ケンカです。値段でもめたり」「互いに好き勝手なこと言うから」「お酒を飲んで仲直り」。大塚家具には「娘にまかせて、譲れないところは言えばいい」
和装履き物の辻屋本店は創業103年である。「商売の意見が合わないことはありますけど、ボクが譲るから」と3代目の父(76)が言い、「私たちを信用して任せてくれている」と4代目の娘(49)は笑っている。伝統は守るが良いところは取り入れる。下駄の需要が減ったが、デザイナーと協力して若者向けを作って息を吹き返した。店の陳列も娘が新しくした。父は反対だったが、客は入りやすくなった。
創業69年の手ぬぐいのふじ屋は父(69)のあとを息子(30)が継ぐ。息子が描 いた絵柄を父は「面白い」という。「息子、大好きですね」(笑い)
大塚家具のことを父は「娘に譲って、気に入らなかったらまた自分の会社を興せばいいじゃない。やりたい会社を」