先週27日(2015年3月)に行なわれた大塚家具の株主総会は、長女の大塚久美子社長(47)側が勝って続投を決めたが、株主総会はさながら親子ゲンカだった。約200人の株主が出席し、グレーのスーツにパールのネックレス姿の久美子社長が開会を宣言すると、最初に仕掛けたのは父親の勝久会長(71)だった。
「クーデターによって社長の座を奪われた大塚です。久美子は難産であきらめようと思ったが女房が頑張った。今度は後任を間違えないようにしたい」
生まれたときの話まで持ち出す父親側はこの時点で負けていた。
一般株主「会社は一族のものではない」
久美子社長は発言を続ける父親と1度も目を合わせず、表情も変えなかった。自分は多数決により交代した正式な社長であると反論し、「不穏当な発言がございました」とさえぎる。勝久氏が「私は何を間違えたのか」「会社がダメになる」と主張すると、久美子社長は淡々と「貴重なご意見ありがとうございました」とかわす。
久美子社長の母、千代子さんが「母親でございます」と発言を始めた時には、会場がざわめいた。「こんなことを創業者が言わなければならないのは無念です。再建できるとは思えません。社員をいじめないで」
場内からは「そんなこと、聞いてない」のヤジが飛んだ。久美子社長はわずかにいらだちを見せ、「もう少し簡潔にお願いします。席にお戻りください」とさばいてみせた。
他の株主は「娘と父がけんかしたところから家具を買いますか」「会社は一族のものではない。親族の株を買ったつもりはありません」と手厳しい。久美子社長に「父との信頼関係を取り戻すことはできますか」との質問が飛んだ。「歩み寄れるものとそうでないものがあります」として、コーポレートガバナンスや企業統治では譲らない構えを打ち出した。
久美子社長は父親排除?「創業者である事実は変わらない」
採決では会社提案が61%の賛成を得て、久美子社長の取締役再任が決まり、勝久氏は会長を退くことになった。株主提案から質疑終了まで95分2秒のお家騒動のライブだった。京都から来た株主は「経営の具体的な話はなかった。立ち居振る舞いから、私の中では父親側の評価が下がった」という。
久美子社長は総会後に「総会が終わったからにはノーサイドで、社員が心を一つにして新しい大塚家具をつくる」と勝利宣言した。勝久氏については「創業者である事実が消えることはない」と語ったが、排除するのかという質問には「(答えを)さしひかえたい」とかわした。
司会の小倉智昭「まだシコリが残るのではないかなあ。ノーサイドというが、うまくいくとは思えません」