フランスアルプスで墜落したドイツ・ルフトハンザ航空系列のLCC「ジャーマンウイングス社」のエアバスA320型機は機体は粉々に砕けていて、フランスのカズターブクム内相は「生存者がいる可能性は少ない」と語った。
乗客名簿にはドイツ駐在の日本人男性2人も含まれており、日本大使館が実際に搭乗していたかの確認を急いでいる。
遭難信号出す間もなく急降下
上空からの墜落現場の映像を見ると、細かく砕けた破片が広範囲に散乱していて、「nw」と書かれた残骸でかろうじて識別できる程度だ。墜落機は24日(2015年3月)午前10時1分にスペイン・バルセロナの空港を離陸し、52分後に既定の高度1万2000メートルに達したが、直後に約8分間で1万メートルも急降下して管制塔のレーダーから消えた。この間、遭難信号を出す余裕もなかったようで、管制塔が代わって遭難信号を出したという。
事故原因については、機体の故障、天候異変、テロ、パイロットの人為的ミスなどが考えられているが、天候については飛行に影響を及ぼすような悪天候ではなかったことがわかっている。テロに関してはアメリカのホワイトハウスの報道官が「テロの兆候を示す情報はない」との見解を示している。
昨年末に日本でも同様のトラブル
残るのは機体の故障とパイロットの人為的ミスだが、エアバスA320は世界で6000機が飛行中で、最もポピュラーな飛行機の一つだ。ただ、最近は事故や故障が相次いでいた。昨年12月(2014年)に日本で降下する不具合が起き、国土交通省が改善を求めていた。その18日後には、マレーシア・エアアジアがインドネシアからシンガポールへ向かう途中で墜落している。
元JAL国際線チーフパーサーで航空評論家の秀島一生は次のように指摘する。「LCCに対する規制緩和が世界的に進んでいて、日本でもそうですが、効率よく飛ばすためには、地上にいる時間を少なくしなければなりません。そのため、以前は危険だということで禁止されていた乗客が乗っているときの給油もいいことになった。安全に対する態勢がどうなっているか、今後クローズアップされると思います」
事故のあった路線に乗ったことがあるというコラムニストの深澤真紀は、「ジャーマンウイングスがルフトハンザの傘下に入ってから人気のLCCになったんです。値段も安いし安全だと勧められ、サービスもちゃんとしていましたよ。今回のパイロットはベテランだったということだし、意外だなという印象です」
格安運賃は魅力だが、効率化のあまり安全を疎かにされてはたまらない。