沖縄県の翁長雄志知事はきのう23日(2015年3月)、米軍普天間飛行場の移転先である辺野古での移設関連作業を停止するよう沖縄防衛局に指示した。国は法的な問題はないとして作業を続行する考えで、裁判も辞さない構えだ。
コンクリートブロックがサンゴ礁損傷
現在、移設作業は海面埋め立てのための海底ボーリング調査などが行われているが、住民らの立ち入りを規制するための浮き具の重りとして投入されたコンクリートブロックがサンゴ礁を損傷している疑いが出た。知事の指示はこれを確認する海底調査のためとしており、移設作業を1週間以内に停止するよう求めている。防衛局が従わない場合は、埋め立てに必要な「岩礁破砕許可」を取り消すと強い姿勢を示している。
埋め立てのための知事の承認(有水面埋立法)と岩礁破砕許可は、2013年末に仲井眞弘多・前知事が出していたが、昨年11月の選挙で「辺野古に基地は作らせない」と主張した翁長氏が仲井眞氏を破って当選した。
しかし自民党はこの民意を無視。当選後に挨拶に上京した翁長氏に、安倍首相も菅官房長官も会おうとしない子どもじみた対応をした。沖縄の住民の怒りは12月の総選挙にも表れ、すべての小選挙区で翁長氏の推薦候補が当選、自民党候補は全敗した。こうしたいきさつからも、辺野古での対決は不可避とみられていた。
翁長知事に会おうともしない首相と官房長官
知事の指示に菅官房長官は「事業の手続きに瑕疵はない」として工事の続行を明言した。首相官邸の幹部も、知事がさらに強行に出れば法的に争うといっている。
キャスターの齋藤孝は「難しい問題です。そもそもは普天間の危険な現状を解消するためだが、今後は法廷闘争に持ち込まれる可能性が高いですね。その間に工事をごり押しをする可能性がある。安全保障問題ですからむずかしい」と言うだけだ。
そもそも、民主主義の基本である選挙の結果を尊重せず、基地反対の知事とは話もしないという安倍首相の態度が沖縄をさらに硬化させている。手痛いツケを払うことになることだろう。