<博士と彼女のセオリー>
ホーキング博士と妻「求めすぎない愛」難病の進行でも衰えぬ探究心・・・二人は乗り越えることができたのか

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愛情は「愛」と「情」が1対1でなくても、足して2ならばそれでいい・・・

   しかし、疲労感は確実に生活を襲う。幼子をかかえ、子供よりも目の離せない要介護者の夫をかかえ、ジェーンはいつしか支えを必要とするようになる。そんな折、ジェーンに前に現れたのが近所の聖歌隊の指揮者のジョナサンだった。妻に先立たれたジョナサンはホーキング一家の手伝いをかって出る。

   とはいえ、待っているのはありがちな不倫劇ではない。惹かれあったことは事実だけれど、すべてではない。気持ちは他の男性にある。けれど夫へのより濃い情が彼女を抑制する。大切な相手を思いやり、互いに何かを隠し、気付かないふりをしあうことを打算とは呼べないだろう。愛よりももっと濃密な情。愛情は愛と情が1対1でなくとも良い。足して2になるのなら、それが二人にとっての愛情の形なのだ。

   だからこそ二人が選んだ道に私たちは祝福と敬愛のまなざしを向ける。おじいさんとおばあさんはいつもいつまでも仲良く暮らしましたとはいかない。でも、メロドラマのように互いを傷つけ、返り血で結ばれるような結末でもない。「戦友」ふたりの関係性が凝縮されたラストシーンは圧巻である。ああ、でもやっぱりやるせない。

   個人的な見どころは、ホーキング博士の大学時代からの悪友を演じたハリー・ロイドが格好良すぎたことでした。

(ばんふう)

おススメ度☆☆☆☆

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