「ダイヤル、ダイヤル回して回して~もしもし、ウヒャウヒャ」という天地総子の軽快なテーマソングに乗って、51年続いてきたTBSラジオの「全国こども電話相談室」(日曜あさ9時)がこの29日(2015年3月)で終了する。子どもの奇想天外な質問に回答者がナマで答えるスリルは、ときにいまどきの情報番組よりレベルが高かった。
終了の理由を入江清彦TBS社長は「今の小中学生は電話よりもパソコン、スマホ。いったん看板を下ろす」と説明した。まあ、それは仕方がない。子どもがラジオそのものを聞かなくなっている。質問も来なくなっていたのだろう
「上野動物園のお猿さんはいつ人間になるんですか」
番組が始まったのは1964年7月で、はじめは平日夕方の放送だった。自然、科学、生活、学校での悩みなどの相談を受け、回答者には科学技術や文化の専門家だけでなく、放送タレントの永六輔、教育者の無着成恭、タレントの毒蝮三太夫らが待ち構えていて即座に答えていった。
しかし、子どもは何を聞いてくるかわからない。「工場の煙の色はなぜ違うの?」「宇宙人は何を食べてるの?」――これに回答者がどう答えるかも大人には聞きどころだった。
井上貴博アナ「回答者がきりきり舞いをさせられる場面もありました」
たとえば、いまや伝説になっているこんな質問もあった。
子ども「人間の祖先はお猿さんだというのですが、本当ですか」
回答者「そうですよ」
子ども「じゃあ、上野動物園のお猿さんはいつ人間になるのですか」
回答者「・・・・・・」
生放送で即座に答えていった回答者の素晴らしさ
キャスターの齋藤孝「出たことありませんけど、生放送だし、聞いていてドキドキしましたね」
08年には収録番組になり、最近は相談をメールで受けつけていた。同じTBSということで、「あさチャン!」はユニークな回答の実例のいくつかを紹介した。小学2年生の女の子の「天国へいったらどうなるんですか」という質問に対しての答えは、「学校やお家でとっても楽しくすると、いま生きているままで天国になっちゃうよ。いま生きているこの世界を天国にしてみようよ」
もうひとつ。小学3年生の女の子の「大人になる時間は何時間かかるんですか」に対して、「あなたが大きくなって、子どもが産めるようになるのを生物学的な大人といいます。人の心がわかる、人の立場に立って自分を見ることがで きるようになったら社会学的に大人といいます。大人になるのはなかなか大変だよ」
齋藤「本格的な答えですね」
井上「ナマ放送の緊張感の中ですからね」
司会の夏目三久「私たちも考えさせられますね」
そう、「あさチャン!」もナマだけど、こうした緊張感がどこまであるか。もうちょっと自覚があっていい。この日、一番盛り上がったのが「日光さる軍団」の復活だったんだから。