中国政府はきのう12日(2015年3月)、5万5101人の汚職官僚・幹部を摘発したと発表した。その人数、金額、生活ぶりには仰天する。
若い愛人とプールで戯れる中年男性。範悦という中国共産党幹部で、20代の女性アナウンサーと関係し高級外車などを買い与えていたとされる。隠し撮り映像には「私の命よりも愛しているよ」とささやくスケベ親父ぶりか記録されていた。
虎もハエもキツネも退治
摘発された不正蓄財は総額2兆円にのぼる。習近平主席は「虎もハエも退治する」と発破をかける。虎とは党幹部や政府の官僚、ハエは地方の役人をさす。なかでも「大虎」といわれるのが、習近平のライバルで重慶市のトップだった薄煕来氏で、3億2000万円の不正蓄財の罪で無期懲役となった。
軍のナンバー2だった徐才厚・前中央軍事委員会副主席は170億円の収賄容疑で党籍はく奪。最高指導部のメンバーだった周永康・前党政治局常務委員は石油業界の実力者で、不正蓄財は1兆9600億円、中国中央テレビのアナウンサーら愛人29人がいた。昨年12月に党籍はく奪。
電力業界に影響力を持っていた令計画氏は息子が12年3月に北京で交通事故を起こしたことから汚職が発覚したと中国メディアが報じている。フェラーリには裸同然の女子大生2人も乗っていた。周永康がもみ消しに動いたことから海外に7100億円の預金があるとがわかった。
習近平政権のターゲットに昨年9月ごろから、新たに「キツネ狩り」が加わった。キツネとは汚職で富を蓄え、海外逃亡した官僚や党幹部のことだ。アメリカやカナダに逃げることが多い。「彼らはたいていビジネスマンだと言っている」と、カナダの不動産業者は話している。中国の警察当局は「必ず取り締まる」と強い姿勢だ。
「習近平主席」汚職捜査でライバル叩き落とし
司会の羽鳥慎一「人数も金額もけた違いですね」
赤江珠緒キャスター「驚きですね」
長嶋一茂(スポーツキャスター)「5万人って、東京ドームいっぱいだよ。どこからこの金が出てくるのですか」
石平・拓殖大客員教授は「買官」というキーワードをあげる。ポストを買うという意味だ。利権の入るポストにつきたい人が、その上の幹部に賄賂を贈ると一番上の幹部には自動的に金が入る。地方で一番安いポストは教育局長で、高いのは国有資産管理局長という。
それにしても、なぜ今にわかに摘発を始めたのか。このままでは政権が崩壊するという危機感と、習政権が基盤を固めるための手段だと石氏は指摘する。「中国で汚職をしていない人はいません。身に覚えがあるからみんながビビります。習政権は摘発を武器に使っています。水戸黄門の印籠みたいなものです」
海外に流出した汚職資金は日本にも来ているのだろうか。石氏は「実際にそういう噂はあります。日本に来るケースは少ないと思うが、ただどんどん逃げているから」と可能性を指摘する。春節連休の爆買いはそんな金の一部だったりして・・・。