『日本一の個人大株主』アベノミクス見立て「2021年に日本は財政破綻」
閣僚のスキャンダルばかりでなく、安倍首相の唯一の拠り所であるアベノミクスも「失敗だ」という声が大きくなってきている。『週刊現代』は<いま、この国の経済が大きく変わろうとしている>という大特集を組んでいるが、読んでみるといい方向へは変わらないようである。
特集の前に「日本一の個人大株主」という竹田和平氏を登場させ、「私はこれから何を買って、何を売るのか」を語らせているが、彼はこうもいっている。<「今後しばらく株価の好調が続くといっても、忘れてはいけないのは、金融緩和の背景には財政赤字の拡大があるということ。バブル相場には必ずしっぺ返しが来る。今年から来年にかけては多くの投資家が資産を増やせると思いますが、その後のバブル崩壊を常に意識しておく必要があります。
具体的に言うと、6年後の2021年に日本は財政破綻する可能性が高いと考えています。正確に言えば日本は今現在も破綻しているのですが、日銀が買い支えているから持っているように見える。未曾有の事態です」>
特集の中で神戸大学経済経営研究所リサーチフェローの長田貴仁氏もこう警鐘を鳴らしている。<「政府は超低金利政策で景況を好転させようとしています。ところが、銀行の国内向け融資は増えていないどころか、減少している。新たな資金需要が生まれていないことは明らかで、政府の狙った効果は出ていません。
なぜか。たとえ資金があったとしても、海外の投資案件に向かうばかりで、国内に流れないからです。例えば、日立製作所は先日、イタリアの鉄道事業を2500億円で買収すると発表しました。ただ、日本企業が海外事業に投資をしても、日本人の雇用が増えるわけではない。その企業が儲かるだけで、日本全体の景気にはあまり関係がありません。国内の景気回復にはつながらないのです」>
週刊現代は<景気は回復せず、金利が上昇し、国債が大暴落する。そのとき、日本国民を襲うのはハイパーインフレだ。予兆はすでに表れている>と書き、今後日本はますます格差が広がり、経済成長はしないと断言しているのである。
『21世紀の資本』の著者であるトマ・ピケティ氏もこういっている。<「公的債務の支払いがかさむ状態では、日本政府が、低所得者層の教育投資をまかなうこともできません。
格差が進み、経済成長に限界があるならば、日本でも資本に対し、累進課税をさらに強化する必要があります」>
だが、大企業や富裕層優遇に現を抜かす安倍首相はそんなことをやるはずがない。
早稲田大学の若田部昌澄教授もこういう。<「アベノミクスは、『景気回復』と『経済成長』は非常に重視していますが、『再分配』の視点はまだ弱い。このまま、消費税を10%に引き上げれば、市場で物を買ってくれる人はますます減り、経済は回らなくなってしまうでしょう」>
結局、日本経済はアベノミクスの失敗でにっちもさっちもいかなくなるということのようである。嗚呼!