韓国・ソウルの朝食会場で5日(2015年3月)朝、マーク・リッパート駐韓米大使に切りつけたキム・ギジョン容疑者(54)は、5年前にも重家俊範駐韓日本大使に石を投げつけ有罪判決を受けた要注意人物だった。
リッパート大使は安全保障のエキスパートで、オバマ米大統領の側近中の側近だ。昨年10月に駐韓大使として赴任した。朝食会で他の出席者と名刺交換の挨拶をしているときにキム・ギジョンは近づいてきた。持っていた柄を含めた長さ25センチの果物ナイフで右頬に長さ10センチ、深さ3センチの傷を負わせ、80針以上を縫う大ケガで、あと1、2センチ傷が深ければ首の頸動脈に達して命に係わる重傷だ。
要注意人物がなぜ近づけたのか?入口チェックなし
キム・ギジョンは竹島の領有権を主張する団体の代表で、反米主義者でもあるらしい。取り押さえられた時に「俺はテロをやった。アメリカのやつを切ってやった」「軍事演習(今週から始まった米韓軍事演習)に反対する。このままでは南北統一はできない」などと叫んでいた。
韓国ではシャーマン米国務次官の歴史認識をめぐる発言が「日本寄り」と受けとられ、米国への反感が高まっていた。そうした最中に要注意人物がなぜ朝食会の会場に入り大使に近づけたのか。
建物入口の防犯カメラには、キムがチェックされることもなく入って行く姿が写っていた。周囲には持ち物を検査する警備員の姿もない。中瀬ゆかり(新潮社出版部長)は「それにしても警備体制には驚きましたね。事前登録制なのに登録していない人を入れて、武器の所持もノーチェック。深さ3センチの切り傷というから、殺意を持っていたとしか思えません」
司会の小倉智昭「この事件を韓国国民がどう受け止めますかね。気になります」