上村遼太君(13)が殺害された事件で、少年法の意味が改めて問われ始めている。背景にあるのは、インターネット上に逮捕された少年らの個人情報が拡散し、きょう5日(2015年3月)発売の「週刊新潮」はリーダー格の18歳少年の実名と顔写真を掲載しているからだ。
目に余るのはネット上の動画映像や書き込みだ。逮捕された少年らの自宅周辺を撮影し、動画サイトで公開したり名前を公開している。ニコニコ動画では、少年の自宅前から生中継する映像すら現れた。
娘殺された父親「加害者は隠れるように名前とか出ません。納得いかんでしょ」
折から、選挙権が与えられる年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案が5日にも成立の見通しで、合わせて少年法の見直し論も浮上している。未成年だからといって、社会的な非難を浴びないのはおかしいという意見だ。
三重県四日市市で昨年8月、18歳の少年に中学3年の愛娘を殺害された父親はこう怒る。「18歳という分別のつく、少年というよりは大人に近い。被害者側は名前がばんばん出ているのに、加害者側は隠れるように名前とかいっさいでません。とても(納得)いかんでしょうね。少年法というのは僕らにとってまったく意味のないものなんです」
これまでも厳罰化進めてきたが・・・
20歳未満の加害少年に対し、少年法は更生や社会復帰を重視し量刑の緩和などを配慮している。しかし、未成年者による凶悪事件が起きるたびに、厳罰化へ向けて法改正が行われてきた。07年の改正では少年院送致を「14歳以上」から「おおむね12歳以上」に引き下げ、14年には18歳未満の有期刑の上限を「15年」から「20年」に改めた。ただ、厳罰化すれば少年犯罪が減少するわけではなく、実際には凶悪化が進んでいる。
社会学者の古市憲寿は「少年法を改正しただけで事件を防げると思うのは短絡的ですよ」といい、宋美玄(産婦人科医)は「少年法には更生させ社会に戻す役割もあるので、どんどん厳しくすればいいというものでもない。今回の事件では、犯人グループが置かれた環境とかバックグラウンドを分析し、どうすれば少年犯罪を減らせるか考える必要もあると思います」と話す。