「国際標準化」か、オールジャパンか
アニメの海外マーケットはDVDからテレビ放映、ネット配信に移っている。森祐治さんはこの変化に対応することが急務だという。「作る側も対応する必要性がありますが、どういう売り方があるかを探る必要があるかと思います。今まで『買いに来てくれる人に売っている』というだけだったので、『いい作品を作る』というところに注力していればよかったんです。かつての日本の工業製品と同じ轍(わだち)を踏んでしまったと考えていいと思います」
一方で、「相手国に合わせる」のではなく、「自分たちが作りたいものを作って世界で稼ぐ」という戦略を立てているのが「シドニアの騎士」を制作している「ポリゴン・ピクチュアズ」だ。3次元のCGを使いながら、あえて2次元のアニメのような質感を出すことで、目の肥えたファンから熱烈な支持を受けている。この会社はネットで海外配信を行う米国の会社に目を付けた。
さらに、「あくまでオールジャパン」にこだわり、ライバル同士のアニメ制作会社が玩具メーカーなどと手を組んで、自分たちのプラットフォームを作ろうという試みも行われている。
国谷裕子キャスター「海外のプラットフォームで挑む、あるいはオール・ジャパンで世界に発信していこうというそれぞれ取り組みがありましたが、どんなメリット、デメリットがあるでしょうか」
森「どこにどんな作品があるのか知ってもらわなきゃならないので、海外のプラットフォームに頼るというのは非常にいい発想です。オールジャパンの場合『ここに行けば日本のアニメが見られる』ということを知ってもらえるかどうか、そこが課題です。商品をどうやったら買ってもらえるか、そこはまだまだ課題があります。特にプラットフォームに権利まで渡してしまうと、不利益を生じる可能性もあります」
国谷「日本の潜在力はまだまだ高いんですよね」
森「まだまだ力はあると思います。新しい作品、優れた作品を作る力はあります。あとはどうやって売っていくか。その課題がまだ残っているということです」
アニメのガラパゴス化からどう脱皮するかということなのだろう。
ビレッジマン
*NHKクローズアップ現代(2015年2月23日放送「逆襲なるか 日本アニメ~海外輸出・新戦略の行方~」)