ノーベル賞作家の川端康成の晩年の姿を写したカラー映像が見つかった。亡くなる1年前の1971年のもので、大手電機メーカーの空調設備のコマーシャル用に撮ったらしい。未放送の分まで含めて編集し直したものが映像関連会社の倉庫にあった。
写真嫌いの文豪・・・鎌倉海岸で散歩姿や執筆の様子
川端は写真嫌いで、自宅で執筆する姿や和服で鎌倉の海辺を歩く様が写っているのは珍しい。もともとは詩人のサトウハチローが出演する予定だったが、サトウが体調を崩したため、撮影嫌いが親友のために「じゃあボクが出てあげる」と実現したのだという。
映像で川端は和服に素足の草履、杖をついて鎌倉の海岸をゆっくりと歩いている。自宅の庭でタバコ、あるいはパイプをふかしたり、原稿用紙に向かう姿もある。映像にだぶってサトウハチローの朗読が入る。「ボクはその昔 先生が連れていらっしゃる犬が振る尻尾までが 涼しかったのを・・・」
映像にかぶせてサトウハチローの朗読
キャスターの齋藤孝「いやあ、貴重ですね。高校時代から大ファンですから」
井上貴博アナ「写真嫌いだったそうですね」
齋藤「あまり残ってないですね。風格からして文豪という感じ」
原稿用紙に万年筆で書いている様子が映ると、「川端の日本語は超絶的に美しいんです。日本語の頂点を極めた人」と嬉しそう。アップになると、さらに「やっぱり手書きがいいのかもしれませんね」
井上「そのあたりは、私たちは立ち入れない」
齋藤「サトウさんの朗読というのも貴重ですよ」
撮影の翌年に川端は亡くなり、さらにその翌年にサトウも亡くなった。
齋藤は「しゃべりたいことがたくさんあります。みなさん『伊豆の踊り子』とか『山の音』とか読んでください」
司会の夏目三久「これを機会に」
齋藤「よろしくお願いします」(笑い)