歌舞伎俳優の十代目坂東三津五郎が21日(2015年2月)、東京都内の病院ですい臓がんのため死去した。59歳だった。端正な芸と踊りの名手で知られ、闘病のあと復帰して映画やテレビでも活躍していただけに惜しまれる。またひとり歌舞伎の重鎮が消えた。
すい臓がん切除後は酒・たばこやめ、シュノーケリングやゴルフで体力作り
先代三津五郎の長男で、5代目八十助を名乗り、44歳の2001年に三津五郎を襲名した。09年には紫綬褒章を受けている。芸の幅は広く、世話物から荒事や時代物、新作歌舞伎、さらにはNHKの大河ドラマ「功名が辻」や映画「武士の一分」などもこなした。
56歳で逝った中村勘三郎とは幼なじみの同い年で、勘三郎を送った翌13年にすい臓がんが見つかり切除した。手術後は酒、たばこを断ち、毎朝ラジオ体操という生活で、フィリピンのセブ島でシュノーケリングや沖縄でゴルフなど「リゾート療法」にも励んだという。
療養のあと昨年4月に舞台復帰し、6月にはTBS系ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」に出演した。しかし、肺への転移がみつかり治療を受けたが、先週火曜(17日)に容態が悪化した。
バーベキューでは焼き係
早すぎる死を悼む声が寄せられている。元妻でフリーアナウンサーの近藤サトは「突然のことで大変驚いています。歌舞伎俳優として、日本舞踊家としてとても尊敬申し上げていました。ご冥福をお祈りしています」
映画「母べえ」で夫婦を演じた俳優の吉永小百合は「残念です。悔しいです。素敵な父べえにもう会えないのですね」
従兄弟にあたる俳優の池上季実子は「私にとってはお兄ちゃん。最近では毎年ゴルフ合宿をしたり、バーベキューの焼き係をしてくれたり、いろいろな思い出がぐるぐるまわっております」
司会の夏目三久「これまでも、これからも歌舞伎界を背負って立つ方でしたね」
キャスターの齋藤孝「こうして次々に亡くなられて残念です。三津五郎さんがテレビで話していたんですが、軽くジャンプしてあぐらでドスンと落ちるのがあって、普通にやると尾てい骨を傷める。そこを傷めないようにやるのが技術で、大事なのは呼吸なんだと。そういう知恵がつまっているんですね」
夏目「もっと足を運んで舞台を見ておけばよかった」