地元発電・地元利用の可能性
熱と一緒に電気も取れる技術が開発されており、下川町のような小規模の木質バイオマス施設でも、地域で電力を賄える可能性も出てきている。岐阜・瑞穂町で昨年12月(2014年)から稼働し始めたバイオマス発電所は、発電量5000キロワット、近隣の1万世帯以上の電力がカバーできる計算だ。
ただ、思わぬ壁に悩まされている。付近の山林から出る間伐材を木質チップにしてもやして発電するのだが、1年間に10トントラック9000台分が必要になる。しかし、次第に山奥から間伐材を運び出さなければならなくなり、そのコストが馬鹿にならないのだ。
計画中の大規模なバイオマス発電所が稼働し始めれば、全国で原料の木材不足が起こり、森林資源の乱伐も懸念されている。
富士通総研上席主任研究員の梶山恵司さんは「燃料需要が高まったからといって、木がどんどん伐採されるようでは、本末転倒になりかねない」という。