家具大手の大塚家具で父と娘が骨肉の争いを繰り広げている。創業者のカリスマ大塚勝久会長(71)と長女の久美子社長(46)が、社長の椅子を巡り「やられたらやり返す」という状況になっているという。業績不振の背景に販売路線の対立があるようだ。
父「俺のやり方は間違ってない」、長女「お父さんのスタイル古い」
大塚家具を長く取材している東洋経済新報社の冨岡耕記者が舞台裏を明かす。「そもそも去年(2014年)の7月の社長解任に遡ります。業績が悪かったため、久美子社長が解任され、創業者の勝久会長が社長を兼任して、立て直しに入ったのですが...」
勝久氏は1969年、25歳の時に埼玉県春日部市で桐たんすを販売する大塚家具を創業し、その後、家具やインテリア全般を大型ショールームで販売するビジネスモデルで成長させた。来客者に住所や名前を書いてもらい、スタッフが「まとめ買い」を勧める会員制が特徴だった。
これに対し、09年に社長に就任した久美子氏は、父の路線は終わったとして、多くの客に安く買ってもらうカジュアル路線を打ち出した。だが、売り上げは思うよう伸びず、勝久氏がかつての路線を復活させたが、業績悪化は止まらなかった。昨年12月(2014年)の決算では4億円の赤字に転落した。「その結果、このままではいかんと久美子さん路線を戻そうということになりました」と冨岡記者が説明する。
父親側には妻、長男、長女側には次男、次女、三女
今年1月(2015年)、再び久美子氏が社長に復帰する。すると、勝久氏はこれに対抗して、3月株主総会に向けて久美子氏を外す株主提案を提出した。まさに、「やられたらやり返す」(冨田記者)という泥沼の争いだ。
経済ジャーナリストの須田慎一郎氏は「(勝久氏は)自分の営業スタイルに非常に強いこだわりがあるんですね。それを否定されたので腹に据えかねているというか、感情的なぶつかりあいが強いんじゃないかと思います」とみている。
司会の羽鳥慎一「あの大塚家具で、こんなことが起きているとは知らなかったですね」
決戦になる株主総会は3月27日の予定だ。勝久氏の保有株式は約18%、久美子氏は約10%で、勝久氏側には妻、長男(専務)、久美子氏側には次男(取締役)、次女、三女がついており、家族も真っ二つに割れている。