2020年の東京オリンピックに向けて、小学校の英語教育が低学年から始まるらしい。外国語の習得は幼いほど早いといわれるが、これは同時に日本語習得の時期とも重なる。「混乱しはしないか」と意見が分かれるところだが、実はすでに独自に早期英語教育に踏み切っているところが各地にある。そのいくつかの現場を「あさチャン!」が訪ねた。
さいたま市は先取り・・・1年生から英語を正式教科
現在、小学5、6年では「外国語活動」として週1時間の英語が必修になっている。ただし、目的は聞く話すコミュニケーション能力を養うことで、通知表での評価はない。文科省は20年度から、これを3、4年から週1~2時間、5、6年では教科として週3時間程度にし、通知表評価の導入を考えている。
導入がオリンピックの年という点に、キャスターの齋藤孝は「ちょっとわかりにくいですよね。その時に始めるんですね」という。
埼玉・さいたま市立尾間木小学校では、階段に各国の国旗と英語表記、ものの名前が日本語と英語で裏表になっているカードが並ぶボードがあり、英語があふれている。3年生からの必修化を想定して授業も行われていた。
6年生の英会話の教室では、「中学校でどんな部活をしたいか」を英語で説明しているところだった。宇垣美里レポーターの問いに「サッカー部に入りたい」「科学部」などという。「なぜ?」というのにも答える。
さいたま市は10年前からの取り組みで市立の全103校で5、6年に英会話を取り入れている。来年4月からは1年生から英語が正式教科になる。この4月から先行するところもある。
さいたま市教育委員会は「コミュニケーションとして子どもたちがたくましく表現できるように」という。当の子どもたちは「英語だけでなく、友だちと交流できる」「外国へいっても友だちができる」などと、まったく抵抗がないようだ。しかし、親は「いいのでは」「日本語もできないのに」と戸惑いもある。
長野・下諏訪町では外国人講師の授業が行われていた。人口2万人の町は10年以上前から2つの町立小学校で1年生から英語を教えている。狙いは「国際社会のリーダーになる素質を磨くこと」とでっかい。講師は給食を食べながらでも英語で話しかけたりする。6年生になると、ほとんど抵抗なく英語を受け入れているようだ。
まずは正しい日本語の習得じゃないのか?
宇垣「英会話よりも英語を使ったコミュニケーション能力を伸ばすのが目的で、授業も遊びの要素があるので、子どもたちも楽しいようです」
司会の夏目三久「たしかに耳が慣れるというのはあるでしょうね」
齋藤「小さいほどいいですからね。耳が慣れれば発音がよくなる。あと、心理的なカベがなくなる。(私たちは)外国人にはプレッシャーを感じたりしますが...」
夏目「どうしても感じてしまいす」
齋藤「心配なのは教員です。外国人は足らないでしょうし、小学校の先生は英語の免許がいらないから、発音も十分ではないかもしれないですね」
宇垣「教科になったとき、自分たちの英語力をどうするかが一番不安だと先生方はおっしゃってました」
齋藤「英語を話す人か、中学高校の先生に来てもらうか。小学校は人間教育だから、それができる人を採用しているわけで、英語ができるからでは本末転倒になります」
石井大裕アナ「1週間1時間の効果はあるんですか」
齋藤「微妙だな。慣れることかな。しかし、言語は人間を作る。だからまずは日本語」
そうそう、彼は日本語の先生だった。