国際的なハッカー集団「アノニマス」がきのう16日(2015年2月)、YouTubeで「イスラム国」に宣戦布告した。声明は「イスラム国よ、われわれはアノニマスだ。われわれは容赦しない。覚悟しろよ!」とストレートだ。一連の残虐行為やテロを指すと見られるが、アニノマスがそもそも謎の集団だ。いったい 何が起るのか予測がつかない。
見えない正体「表現や言論の自由を妨げるものと戦う」と宣言
YouTubeの画面には、黒をバックに数字の羅列やトレードマークの仮面のイラストが浮かび、声明は英語の音声だけだった。アノニマスは「匿名」という意味で、世界の個人ハッカーの集団ということはわかってはいるが、実態は不明だ。時折、白い仮面をかぶって集会や街頭に現れる姿があるが、それが本物かもわからない。
ただ、「表現や言論の自由を妨げるもの」と戦う姿勢ははっきりしており、アメリカ政府をはじめ各国の公的機関や企業の機密文書などを公開したり、サーバーに不法侵入してデータを改ざんしたり、情報を流出させたりと、その実力は知られている。
日本でも3年前、財務省や最高裁のホームページを攻撃して、一部サイトが閲覧できなくなったことがある。これも「改正著作権法」で違法ダウンロード禁止したのを「表現の自由を侵害している」という主張からだった。
「イスラム国」に同調する勢力は、パリの新聞襲撃、日本人人質殺害に続いて、15日にはデンマークでテロ、きのうはリビアで21人のエジプト人が処刑される映像が流れた。こうした宣伝は巧みで、デジタル技術とネットに長けた人間がいるのはたしかだろう。アノニマスはこれと一戦交えるというわけだ。
早くも戦果宣伝「SNS1000件を攻撃して閉鎖に追い込んだ」
YouTubeの別の声明(フランス語)では、「表現の自由を殺す愚かさを許さない。警告する。破滅を覚悟しろ。地球の果てまで追跡する」といっている。英語の声明でも、「今後、ネット上にお前の安全な場所はない」「イスラム国を名乗るテロリストたちはイスラム教徒ではない。われわれはお前を捜し、サイト・アカウント・メールを停止し、正体をあばいてやる」としている。
すでに「イスラム国」のソーシャルメディア約1000件に攻撃を仕掛け、閉鎖させたという。専門家は「イスラム国の動きを察知して反撃を加えることはできる。しかし、サイトが停止すると、逆に情報がとれなくなるかもしれない」と懸念もする。
司会の夏目三久「不透明な部分が多いんですけどねえ」
キャスターの齋藤孝「面白いというか、毒を以って毒を制すことになる。イスラム国はネットを通して宣伝もリクルートもやっているが、そこに攻撃を仕掛けたり、情報をとったりもできるかもしれませんね。一方で、アノニマスをコントロールできるのでしょうか」
できないから、アノニマスなんだからね。