広島・呉「遊び友だち集団暴行殺害」加害少女に愛着障害―自分の感情・行動をコントロールできない...

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親と子へのサポートで「愛着」再生

   虐待や不適切な教育を受けて「愛着」を築けなかった子をどうやって救っていくのか。「愛着」の最先端を見てみよう。前出の友田教授は新たな治験薬の開発を模索している。その一つが「オキシトシン」というホルモン。スキンシップなどで安心感を得られたときに分泌されるホルモンで、「人との信頼関係を得たときに醸成される」として注目されている。友田さんは2年前から試験的に投与している。「試行錯誤しながら、どういうタイミングで使うべきかなどを見極めている段階です」

   呉の事件を主導したとされる少女も、広島拘置所で「愛着」の再生を目指している。母親は「本当にごめんなさい」「ママの考えがおかしかった」など70通を超える手紙を書き続け、少女の記す文面が少しづつ変わってきているという。「私は今までママを傷つけることばかりしてきた。裁判所で背中を撫でてくれてありがとう。17年間生きてきて初めて直に伝わったママからの愛情なんじゃないかと思った」

   国谷「薬の効果はどう位置付けたらいいんでしょうか」

   高岡准教授「オキシトシンはまだ試験段階です。将来、仮に多少の効果があると仮定しても、それだけに頼るのは間違っていると思います。親と子供へのサポート、両方を並行していくことが大事かと考えています。親を孤立させない。子供には自信を回復させながら人間的なつながりを深めていくことですね」

   国谷「大人はどういったところに気を付けたらいいのでしょうか」

   高岡准教授「これまでと違ったタイプの大人がいるんだと気づいてもらうことが大事です。そのために、一方的に支持するのではなく、『共同行動』、つまり一緒に行動していくことが大切です」

   国谷「多くの子に接した中で、『愛着が戻ってきた』と思うのはどんな瞬間ですか」

   高岡准教授「自分のことを語りだしたとき、それも恥ずかしそうに語りだすとき、私たちが一番ホッとする瞬間です」

   悪ガキで片付けてしまうと、さらに重大な犯罪を犯す恐れが強いということだろう。

赤坂和郎

NHKクローズアップ現代(2015年2月9日放送「少年犯罪・加害者の心に何が~「愛着障害」)

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