東京・渋谷区が同性のカップルに「結婚に相当する関係」を認める証明書を発行することを決めた。3月(2015年)の区議会に条例案をはかり、4月1日からスタートして、証明書は2015年度内に開始する。
法的な措置ではないが、世界的な流れである性的少数者(LGBT)の権利保護に先鞭をつける。
差別した事業者の名前公表
LGBTはアパートの入居や病院の面会を「家族でない」と断られるなど、さまざまな障害・差別に苦しんでいる。渋谷区は昨年7月から関係者からの聞き取りや有識者の委員会を設けて検討を続けてきた。
委員会がまとめた条例案では、「同性パートナーシップ証明書」を発行して、権利を区がバックアップすることになっている。さらに、条例の趣旨に反する事業者の名前を公表するなどの措置もとれる。前述のような問題に直面したときに、区が苦情の受け皿になれるわけだ。対象は区内在住の20歳以上。
東京新聞によると、こうしたLGBTへの理解は若い世代で進んでいる。意識調査では、全世代では同性カップルに反対は52%だったが、20代、30代になると70%が認めている。
同性婚認める世界的な流れ
海外では、同性婚をオランダ、ベルギー、フランス、イギリス、カナダ、アルゼンチン、アメリカ(州による)など10か国が認めており、ドイツ、スイスなど4か国がパートナーシップを認めている。世界的には大きな流れになっているのだ。
キャスターの齋藤孝は「社会意識の変化を感じます。性的少数者は20代以上の5.2%といわれるが、社会生活ではさまざまな障害に苦しんできた。法律ではないにしても、証明書があると気持ちが楽になるでしょうね」
渋谷区が動いたことで、他の自治体にも波及するだろう。時間はかかるかもしれないが、最初に踏み切った意識の高さに敬意を表したい。