「錦織圭」なぜ急に強くなった?欧米の蔑視・差別見返す精神的成長「世界トップに立つのは自分だ」

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   今年に入っても話題はこの人、錦織圭だ。テニスの全豪オープンは第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第6シードのアンディ・マリー(イギリス)を破り、2年ぶり5度目の優勝を飾った。

   錦織圭は準々決勝で前回大会の覇者・バブリンカに敗れ、残念ながら4強には入れなかったが、戦いぶりに安定感と自信がついてきたことが見てとれた。日本では彼の健闘に拍手を惜しまなかったが、現地では少し違う反応だったと『週刊現代』が報じている。「アジア人としてはよく頑張ったね」というものだそうである。米スポーツ誌『スポーツ・イラストレイテッド』でテニスを専門に取材しているジョン・ワーサイム記者はこう話す。

<「日本では大人気だと聞いていますが、正直に言って、錦織は海外のテニスファンの心はまったく掴んでいません。というより、誰も錦織に興味がないんです。(中略)では、なぜ錦織の試合が喜ばれたか。それは彼が負けたからでしょう。欧米人は自分たちのスターに懸命に立ち向かった末に敗れる、いいアンダードッグ(負け犬)が大好きなんです」>

   これを「人種差別」だといっていいのか、私には疑問だが、13年の全仏オープンで地元フランス選手と戦った錦織が大ブーイングを浴びたりしたことなどはあった。こういうことはテニスだけではなく、サッカーでもよく見られることだ。そうしたアウェイでの戦いに勝ち抜かなくては一流の選手とはいえないだろう。だが、錦織は性格的におとなしく、これまで格上の相手と対戦すると飲み込まれてしまうことがよくあった。その弱味を見つけ出し、徹底的に精神的にも鍛え上げたのが今のコーチのマイケル・チャンである。彼はアメリカ生まれだが、両親は台湾からの移民だった。兄のカールがいう。

<「悲しいことだが、アメリカではアジア人に限らず、白人以外はみなある程度の差別を受けるんだ。たとえ才能があっても、それは免れない。弟のマイケルも、『絶対に成功しない』と言われ続けたよ」>

   しかし、そんな偏見がマイケルの闘争心に火をつけ、誰よりも強いメンタルを作り上げ、17歳3か月という史上最年少で全仏オープンを制覇するのだ。世界ランクも2位にまで登り詰める。それほどのチャンでも、コートを駆け回る姿についた渾名は「バッタ」「ドブネズミ」だったという。

   チャンが錦織にいい含めるのは、「たとえフェデラーだろうと、お前の道を邪魔する奴はすべて敵だ」ということだ。自分を信じ、勝つのは自分だという強い気持ちをもたなければ世界のトップには立てない。いまやテクニックだけではなく、精神的にも強くなった錦織が、些細な偏見や差別にへこたれることなどないはずだ。週刊現代の記事はまったくの杞憂に終わるはずである。

さっぱり勝てないタイガー・ウッズ!グリーン周りで体コチコチの「アプローチイップス」

   世界中のゴルフファンを呆れさせているのがメジャー14勝を誇るタイガー・ウッズである。先日のフェニックス・オープン2日目でアマチュアゴルファーもビックリの82を叩き、最下位で予選落ちしてしまった。『週刊新潮』で在米ゴルフジャーナリストの舩越園子氏がこういう。<「調子が悪いというより戻せていない、という方が正しい。2009年11月の不倫騒動の時、それまでついていたコーチのハンク・ヘイニーが離れ、第三の目がなくなってしまった。12年に復活優勝し、翌年は賞金王になりましたが、よいときのタイガーとはほど遠い」>

   昨年秋から新しいスイングに取り組んでいるが、酷くなっている印象だといい、アメリカの放送では「アプローチイップス」だといわれているそうだ。アプローチするときに体が固まってしまうのでは、いかにウッズといえどもいいスコアが出るわけはない。

   ジャック・ニクラスが長い低迷期を脱出してマスターズに優勝したのは46歳の時だった。この最年長優勝記録を破れるのはウッズしかいないはずだ。まだまだ時間はある。ゆっくりスイングを直せばいい。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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