いつもの街も違って見える!活用広がる「3D地図」数センチの精度で地形読み取り

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防災、新ビジネス、農作物の適否・・・どう使うかは「地図力」次第

   3D地図の利用でアメリカは世界をリードする。データはオープンで誰でも自由に利用できるのだが、NASA(航空宇宙局)は昨年9月(2014年)、地球全体の3D地図づくりを発表した。18年に国際宇宙ステーションに特殊なレーザー測定器を設置して、測定結果を世界に公開するという遠大なプロジェクトだ。NASAは「人類にとって画期的なこと」という。それはそうだろう。

   新たなビジネスを立ち上げたITベンチャーがある。目をつけたのは州政府が公開していた都市の3D地図だ。家屋も入っているので、屋根の傾きと日照時間からソーラーパネルの発電効率を割り出した。初期費用と発電量から「この建物は何年で元がとれる」と一瞬ではじき出すのだ。

   いま全米7都市で事業を展開しているが、2年後には設立時の35倍、約17億円の売り上げを見込んでいるという。経営者は「街全体の発電量も計算できる。ボストンだと2.2ギガワット。原子力発電所と同じ」という。

   「地図力」の育成もある。アーカンソー州の公立小学校では2年前から全学年で3D地図を授業に使っている。閲覧ソフトは大手ソフト会社が無償で提供した。子どもたちは「1度覚えれば簡単」と、パソコン画面で地図を呼び出しては、何に役立つかをけんめいに考えている。

   この面で日本はまだまだ。高校でも必修は世界史で、日本史と地理は選択科目だ。生徒の半数は地理を知らずに卒業していく。日本学術会議が昨年やっとオープンデータの活用で「地図力」を高める必要を提言したところである。

   東大空間情報科学研究センター長の小口高氏は「災害に活用できます。地震の活断層が森林の下でもわかるし、津波対策にも土砂災害の予測にもなるんです」という。農業では作物の適否、道路の傾斜とエネルギー消費とか活用はまさに「地図力」次第だという。

NHKクローズアップ現代(2015年2月6日放送「『地図力』が社会を変える!」)

文   ヤンヤン
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