移民2世、3世に鬱積「自由・平等・博愛」の建前と現実の乖離
国谷裕子キャスター「表現の自由をめぐる議論で移民の方たちの『自分たちは尊重されていない』と感じるところへ寄り添うことはできないものでしょうかね」
東京外語大大学院の渡邊啓貴教授はこう話す。「その辺が今回の大きな中心的問題だと思います。フランスは今まで表現の自由といってきて、それ自体は普遍的な考えと思うが、どの文化もそれなりの固有性、特徴を持っています。自由の中のスタンダード、どこまでが許容範囲かということが議論される最も大切なことだと思います。
とくに、第2世代に人たちはフランスに溶け込もうとして、そういう教育を受けてきています。それにもかかわらず、出自とか宗教、とくに生活に根差した宗教ですから、受け止められにくいし適合しにくい。フランスが持っている表現の自由にあるスタンダード、規制が彼らには一方通行に見えるのではないでしょうか」
イスラム教の預言者に対する侮辱が表現の自由の許容範囲を超えていることは理性的な人には分かっているのだろう。それが声にならないのは、高額な税金や雇用不安などの原因を移民に求めているからではないか。「不安定な状況を改善し社会統合を進めるためのカギはなんだと思いますか」という国谷キャスターの問いに、渡邊教授は「平凡ですが、対話だと思う」と答えた。
*NHKクローズアップ現代(2015年2月4日放送「『分断』の危機は避けられるか~仏テロ 広がる波紋~」)
文
モンブラン